2005年12月09日(金)
【レビスタ・ダ・フォーリャ誌二十七日】ブラジル国内の刑務所では世界でも稀にみるセックス面会日が設けられ、夫婦や愛人との愛を確かめ合うことができる。面会日は毎月最後の土曜日で、刑務所内の特別面会室で二時間甘い時間を過ごす。ただし時間切れを知らせるけたたましいサイレンで現実の厳しい世界に引き戻されるのが玉に傷だが・・・。
セックス面会は一九八七年に男子刑務所で許可されたのに対し、女子刑務所では二〇〇一年に、関係者の運動の甲斐が実って実現するという紆余曲折があった。法務省は当初、エイズ防止を理由に拒否していたが、男子刑務所の方がエイズ感染の危険が高いとやり込められて一言もなく承認した経緯がある。
ただ、セックス面会は登録許可制で、最低六カ月間の夫婦あるいは同棲なり愛人関係を実証して双方とも身体検査とくに性病検査を受けなければならない。男子刑務所ではこの面会日には女性が押し寄せ、室の前は順番待ちの行列で大盛況となるが、これとは打って変って女子刑務所ではせいぜい三人から四人と森閑としている。以下は女子刑務所の実態である。
サンパウロ市ベレンジーニョの男子刑務所では、二六%に相当する四百人が登録して面会日を利用するのに対し、サンパウロ市女子刑務所では服役囚六百八十人のわずか四・八%に相当する三十二人しか登録していない。しかも先月の最終土曜日の特別室の利用は四人だった。
これについて刑務所側は、塀の外にいる男性と女性の夫婦としての連帯感と責任感の違いだという。女性は家庭と子供の父親を失くさないために足繁く面会に通うが、男性にはそれが少なく、さらにほかの女性を作るためわざわざ面会に来ない。さらに出所後、女囚は行き場所がなく、男の許に戻ってくるのを知っているからだという。
しかし、中には足繁く通ってくる夫もいる。三十八歳の女囚は結婚二十年で六人の子持ちだが、もう一度妊娠することを願望している。妊娠すると四カ月の産休があり、特別房で子育てに専念でき待遇も抜群だという。彼女は未決囚時代にこの経験がある。
未決囚刑務所ではセックス面会日は公認されていないが、面会日に収容房の二段ベッドにシーツを張りめぐらせてテレビやラジカセの音声を最大にあげれば、「誰にも聞こえない」という。特別室に行くのには毛布を抱えて収容房の前を通り抜けるため、女囚全ての知るところとなり、ひやかしや野次が絶えない。しかも終了を告げるサイレンが鳴り響き、乱れた髪とほてった顔で戻る時は卑わいな野次に堪えられないが、女囚はじっと我慢するとのこと。
同じく三十八歳の別の女囚は二人の夫が面会に来ないことで、二十五歳のモトボーイとの愛人関係を実証(半年間にわたる文通や面会などで)、一年間に渡って幸せな愛の時間を保ったが、モトボーイが先月、麻薬不法所持で逮捕されたことでピリオドを打った。彼女はあと半年かけて新しい愛人を見つけると意気込んでいる。
セックス面会が少ないのは所内の同性愛が最大の原因になっている。刑務所側によると半数以上が所内でカップルとして結ばれている。刑務所側はカップルを同じ房に入れる配慮をしている。中には先日、十二年目の「結婚記念日」を祝ったカップルがいる。ケーキは看守が差し入れ、多数の「夫婦」が盛大に祝った。このカップルの夫は仮釈放で出所したが、離れていることに耐えられず、再度罪を犯して刑務所に舞い戻った経緯があり、愛の執念を見せつけた。