「世界一過酷な耐久レース」と評される『第10回ジャングルマラソン』が10月上旬、アマゾン河中流にあるパラー州のタパジョス森林国立公園で行なわれた。見渡す限りの密林の中を1週間で280キロ以上を走って移動する種目で「日本人チームが団体として初出場し、見事全員が完走、初優勝という快挙を成し遂げました」と、競技を二日前に終えたばかりの13日、チームリーダーの川島孝一さん(31、神奈川)と谷口保さん(38、鹿児島)が来社し、喜びの声を伝えた。
パラー州サンタレン近郊タパジョス森林国立公園を舞台にした同マラソンには280キロ(6ステージ7日間)、130キロ(4ステージ4日間)、42キロ(1日)の3種目がある。食料や衣類、寝具、医療品などを詰め込んだバッグを背負い、密林の中を移動し続けなければならない。
280キロ部門に参加したのは「Team AHO(チーム・アホ)」。川島さん、谷口さんのほか山口敦子さん(34、大阪)、小泉雅央さん(31、埼玉)が、約1週間分の物資15キロを背負いレースに臨んだ。
水分だけは各通過地点で補給できるが、口に出来るものは手持ち分のみ。道中は様々な困難が待ち受けていた。「崖のような上り坂を這い上がったり、真っ暗な中ロープ1本を頼りに川を渡ったりした。川の深さも、どんな動物が生息しているかも分からない。後から聞けばワニや電気ウナギ、大蛇も出るような箇所もあり、地元の人間も夜間は一切近づかないとか…。体力が削られる中、恐怖を乗り越える精神力も試された」(川島さん)。
谷口さんも「個人で挑んだら初日で棄権していた。励ましあったから進むことが出来た」と仲間に感謝する。「渡航費などを支援してくれた方々の思いも背負っていたから、簡単にあきらめることは出来なかった」とも。膨れ上がった足首を擦りながら、感激覚めやらぬ2人はそう胸中を吐露した。
同部門に出場した51人中、完走できたのは25人。チーム・アホはタイム上最下位だったが、実は団体参加はごくわずかで、唯一全員がゴールまでたどり着き優勝に輝いた。「各通過地点までの距離もいい加減で、『もう着くはずなのに』と心が折れそうになった。でも常に笑顔で、楽しく挑戦することを心がけた」と語るように、世界的に大ヒットした映画『アバター』の衣装で臨み、見事快挙を成し遂げた。
交流サイト「Facebook」を通じ反響も大きく、川島さんは「困難を乗り越えることで、人々に勇気を与えられた」と充実の表情で振り返った。