日本の人気テレビ番組『進ぬ!電波少年』で2000年頃、家庭教師・ケイコ先生として人気を博し、現在は浪曲師として活躍中の春野恵子さんが、公演『春野恵子 浪曲ツアーinブラジル』を10日午後2時から、サンパウロ市の広島文化センター(Rua Tamandare, 800, Liberdade)で行う。ポ語字幕付き。入場無料。ニッケイ新聞主催。在聖総領事館、国際交流基金後援で、日伯外交関係樹立120周年記念、大阪市の助成事業。なお、8日午後には、日本人学校で公演・ワークショップを実施する。
「待ってました!日本一!」といった浪曲独特のかけ声講座や、三味線に合わせて声を出す弟子入り体験も行われる公演は、浪曲に馴染みのない人でも存分に楽しめる90分だ。
演目は江戸・隅田川花火大会が舞台で親子、夫婦の互いの想い合いを伝える『両国夫婦花火』。笑いあり涙ありとあって、春野さんの持つ演目の中でも人気が高い。
本紙の取材に対し春野さんは、「ブラジルでも浪曲師が活躍していたこと聞いており、以前から公演したいと思っていた。日系人の皆さんとの触れ合いが楽しみ」とコメントを寄せている。
東京大学教育学部卒の経歴を持つ春野さんは、知性派タレントとして芸能活動を行っていたが、舞台役者への憧れが強く、自身の活動に思い悩んでいた所、浪曲と出会いその道を志すことを決意。上方浪曲の女流第一人者、二代目春野百合子に師事した。
近年では各地で年間200回もの公演をこなし、12年には、未来の大阪文化を担う人材に対して贈られる大阪市の「咲くやこの花賞」を受賞。14年には、中国、ドイツ、ロシアなどで公演を成功。特に米NYでは英語で公演を行い、大きな話題を集める等、浪曲文化の普及に八面六臂の活躍を見せている。
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「クラウドファンディング」という資金調達の方法を知っているだろうか。インターネットを用いて、小額から投資者を募る方法で、米国で一般的になった。近年日本では、出資者には金銭的見返りが無い代わりに、金額に応じた色々な権利を獲得できる方法が認知されている。春野恵子さんもこの方法を用いて14年NY公演で、なんと約560万円もの資金調達し、中には一人で100万円提供した人もいるというから驚き。
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浪曲というと古臭いイメージを持つ人も多いようだが、日本の伝統話芸を継承する試みとして、学校などで行う子供向けのワークショップが人気だとか。かつてはコロニア随一の娯楽だった浪曲。懐かしむだけでなく日本語の豊かさを知らせるいい機会だ。お子さん、お孫さんと一緒に会場に足を運んでほしい。