蚊を媒介とするジカウイルスへの感染拡大と、同ウイルスが原因と見られる小頭症児急増を防ぐため、サンパウロ州が、全ての妊婦を対象にジカウイルスへの罹患の有無を調べる検査などを行うことを検討している。
小頭症は脳の容積が大きくならないために知的障害などを引き起こす疾病で、今日まで治療法が見つかっていない難病だ。元来は伝染性がなく、ブラジル国内でも年に100人程度の発生率だったが、今年は北東部のペルナンブッコ州を筆頭に急増中で、11月28日発表の最新データだと、全14州で1248人まで拡大し、流行状態になっている。
サンパウロ州ではまだ、同ウイルスに罹患しての小頭症発症例は報告されていないが、州保健局は早速、ジカウイルス対策に乗り出した。
サンパウロ州保健局のダヴィド・ウイップ局長は、4日にジェラウド・アウキミン知事に対策案を提出する予定だ。
州知事からの承認を得ていないため、同局長は具体的な内容や予算額への言及を避けているが、2本の柱のひとつは、州内の妊婦全員に対し、ジカウイルスに罹患した経験の有無もわかる、新しいタイプの検査を行うことだという。
現状での検査は罹患が疑われる人に対して行なわれ、体内にウイルスがいるか否かを判別する。だが、アドルフ・ルッツ研究所が保健省から提供されたサンプルを使って開発している新しい検査法だと、体内にウイルスに対する抗体があるか否かを調べることで、過去の罹患の有無まで判別できるという。
同局長としては、妊婦への対策は、新しい検査方法で罹患歴の有無を確認するだけではなく、罹患歴のある妊婦が小頭症児を出産した場合の精神面のケアまでを含めたものにしたいという。
また、州内の各市に対し、ウイルスを媒介するネッタイシマカ撲滅対策に携わる職員数や支援金の額を増やす意向だ。州内の教育機関や検査機関も、同ウイルスに関する研究を進めるための協力関係を築き始めた。
各市レベルでのネッタイシマカ対策も既にはじまっている。サンパウロ市のフェルナンド・ハダジ市長は、関係機関から職員を派遣し、ネッタイシマカの幼虫が発生しやすい水溜りなどの撲滅を目指す。2日には、廃墟や日中は人がいない家、いても扉を開けようとしない家庭に対しては通達を出し、48時間以内に職員らが内部に入ることを認め、幼虫発生に繋がる瓦礫などを撤去できるるようにする条例も出している。(3日付エスタード紙より)
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