日本政府が昨年、ブラジル柔道連盟(パウロ・バンデルレイ会長)に寄付した柔道着100着のうち25着が13日、ファベーラで柔道を通じた慈善活動を行なう「チアゴ・カミーロ財団」に贈られた。サンパウロ市南部にあるCEUパライゾーポリス校の児童へ13日、道着が手渡され、シドニー五輪銀メダリストのカミーロ代表は「思いがけない贈り物。未来を生きる子どもらへの支援に感謝」と、一足早いナタルのプレゼントに謝意を示した。
寄贈されたこれらの道着は昨年8月、安倍晋三首相が来伯した際にブラジル柔道界へ寄付したもの。日本政府が提唱するスポーツ振興政策『スポーツ・フォー・トゥモロー』の一環で、翌2015年に控えた外交120周年の記念も兼ね贈られた。
バンデルレイ会長はサンパウロ州が日系社会の中心であることから、同州柔道連盟に配布先の審議を要請。ブラジル講道館柔道有段者会とも協力しながら、聖、ミナス、南麻3州へ寄贈している。チアゴ・カミーロ財団へは100着の内、25着が贈られることになった。
同団体は現役の柔道家チアゴ・カミーロさん(33)が代表を務める機関で、柔道を通じた人間形成を念頭に貧困層などを対象に指導を行なっている。サンパウロ市最大規模のファベーラがあるパライゾーポリスでは、同地区の公立校CEUに通う約200人の児童に指導する。
サンパウロ州ツッパンに生まれたカミーロさんは、馬欠馬卯一郎さんのバストス道場で5歳から柔道を習い始めた。00年シドニー五輪で銀、08年北京で銅を獲得しており、07年にはリオでの世界選手権で優勝した経験もある。来年の五輪に向けても90キロ級での出場を目指すという、第一線で活躍する現役選手だ。「同じ階級にライバルは多いが、代表の座を勝ち取って母国の五輪でメダルを獲りたい」と意気込んでいる。
贈呈は年末恒例の昇段認定式に合わせ13日午前、同校で行なわれた。ちびっ子に道着を手渡した中前隆博在聖総領事は、「慈善活動に協力できることは大きな喜び。リオ、東京を五輪でつなぐ契機を活用し、スポーツにおける絆や価値を高めたい」と語った。
またカミーロさんは「この地区で活動を続けるため常に支援を募っている。用具の確保も難しい中、柔道着の寄付は非常にありがたい。未来への支援に感謝する」と謝辞を述べ、遠く離れた日本からの贈り物を喜んだ。