サンパウロ州検察局は10日、ルーラ前大統領(労働者党・PT)に対する逮捕請求をサンパウロ州地裁に提出した。これは、サンパウロ州グアルジャーの三層高級住宅に関するもので、サンパウロ州地裁の判断次第でルーラ氏逮捕も起こり得る。11日付伯字紙が報じている。
ルーラ氏の逮捕請求は、カシオ・コンセリーノ氏をはじめとした3人のサンパウロ州検察官によって行われた。
検察側の調べでは、ルーラ氏夫人のマリーザ氏が05年、バンコープ社が当時展開していた住宅計画に参加し、アパート1軒分の費用で3層高級住宅の購入権を得たものの、09年に同社が倒産。バンコープ社は、当時展開していた住宅計画のうち、3110軒分は、居住予定者から購入金を受け取っていながら、住居が未完成で引き渡せず、建設工事も含む事業をそのままOAS社に譲渡した。
このうち、846軒分は現在も居住予定者だった人たちへの清算が完了していないが、そうした状況にも関わらず、OAS社は14年、約100万レアルを自己負担し、マリーザ氏の購入した物件の建て替えを行った。だが、連邦警察のラヴァ・ジャット作戦が進展し、捜査対象が拡大し始めた15年11月、マリーザ氏はこの物件を手放した。
サンパウロ州検察局は3層高級住宅の真の購買者はルーラ氏で、同氏が影響力を駆使してOASに不正の改修をさせたとして、資金洗浄と名義人詐称で逮捕請求を出した。
この件ではマリーザ氏とルーラ氏の長男のルリーニャ氏も資金洗浄で起訴されているが、逮捕請求は出ていない。
ルーラ氏以外で逮捕請求が出たのは、バンコープの顧客に対する詐欺容疑がかけられているOAS元社長のレオ・ピニェイロ氏、バンコープ元社長のジョアン・ヴァカリ・ネット氏、OASやバンコープの関係者各2人の6人だ。ピニェイロ被告とヴァカリ氏はラヴァ・ジャット作戦で逮捕され、共に15年以上の実刑を受けている。
ルーラ氏の逮捕請求について検察局は、ルーラ氏が証拠隠滅を図り、逃走する恐れがあるからだと説明している。また、ルーラ氏に対しては銀行の預金の情報公開とパスポートの没収が求められている。
逮捕請求はサンパウロ州第4地裁に回されており、マリア・プリシラ・エルナンデス・ヴェイガ・オリヴェイラ判事が、逮捕か否かの判断を行うこととなる。判断を出す期日は特に決められていない。
検察官たちはルーラ氏の起訴事実を説明した会見の席で、「03年に恵まれない民衆たちを熱狂させて大統領に就任した人物として、この逮捕請求はマルクスやヘーゲルをも辱めるものだ」と厳しい口調で語っている。