1969年から姉妹都市関係を結ぶサンパウロ市と大阪の交流事業として、サンパウロ市在住の大貫純さん(21、四世)が先月25日までの約2週間、親善大使として訪日した。大阪・サンパウロ姉妹都市協会主催。
大貫さんは埼玉県に生まれ、2歳まで生活した。一家でサンパウロ市に移った後も日本語の勉強を続け、日本語能力試験N1を取得。昨年の日本語スピーチコンテストに出場し、優秀成績を修めて親善大使に抜擢された。
小さい頃は、新幹線のジグソーパズルで遊んでいたという。両親や親戚から日本の色々な話を聞いて育ち、「自分が生まれた国に行って、今まで聞いた話をこの目で確かめたい」という期待とともに渡日した。
滞在中は大阪を中心に、防災センターや博物館なども見学。大阪城、金閣寺、仁和寺などへ観光にも訪れた。
サンパウロ大学で環境について学ぶことから、下水処理場の見学時に強い印象を受けたという。「大阪市には浄化施設が12カ所あるが、サンパウロ市には半分以下の5カ所のみ。浄化率も大阪の90パーセント以上に対し、サンパウロ市は6、70パーセントで違いを痛感した」との感想を語った。
到着翌日には神戸へ。メリケン波止場にある希望の船出像を見て、サントスの「日本移民ブラジル上陸記念碑」を思い出し、胸が熱くなったという。
神戸移民センターでは曽祖父が1920年に渡伯した記録を発見。「その96年後に、曾孫である自分が日本に来るとは」と感激した様子だった。
2週間を振り返り、「日本人は細かいところまで注意を払って仕事をしている。それを見習ならわなければ。いつかは日本の大学に留学してみたいし、出身地の埼玉も訪れたい」と笑顔で語った。