7月30日にベネズエラが一方的に南米南部共同市場(メルコスル)の議長国就任宣言を行い、ジョゼ・セーラ外相が1日、強い反対の意を表明する声明を出した。2日付伯字紙が報じている。
メルコスル議長国は、半年毎にアルファベット順で持ち回りすることになっている。
ベネズエラは、ニコラス・マドゥーロ政権による政治犯への不当な弾圧で国内の民主主義が脅かされていること、極度の経済難で物資が不足し、国境を越えて他国にまで物資を買い求める人が続出するなど、「問題が山積」と見られていた。
そのため、セーラ外相は7月6日にカルドーゾ元大統領を伴い、当時の議長国で、参加5カ国中唯一、ベネズエラに好意的なウルグアイを説得し、議長国交代を8月半ばまで先延ばしするよう求めていた。
だが、ウルグアイのロドルフォ・ニン・ノヴォア外相は7月29日、同国が議長国を明け渡すと宣言。その翌日、ベネズエラが「議長国をつとめる」と宣言し、パラグアイとアルゼンチンが、この宣言は「認めない」との見解を下した。
セーラ外相も1日に声明を出し、現在のメルコスルには議長国は不在とした上、「ベネズエラ派メルコスル加盟国に求められている基本的な加盟条件を果たしていない」と批判。議長国交代は「参加国すべての同意の上で行われるべきこと」と主張した。パラグアイやアルゼンチンも「同国は参加条件を満たしていない」と考えている。
ブラジルとパラグアイはベネズエラに、今月12日までにメルコスル参加国としての資格の有無を証明するよう要求しているが、ベネズエラ側は「すでに議長国の座は得た」と反論している。
ベネズエラでは現在、マドゥーロ大統領罷免を問う国民投票を望む声が高く、5月に約200万件の署名が提出された。選挙委員会は1日、国民投票実施を支持する人の署名を集める条件が整ったと発表した。同委員会は必要最定数の倍以上の40万弱の署名を正式認可したが、これは提出数の20%で、ここにも政治的な影響が窺われる。
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