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柔道90キロ級に参加したポポレ(リオ2016公式サイトより)
柔道90キロ級に参加したポポレ(リオ2016公式サイトより)

肉親と再会する望みは?=亡命選手ら応援する亡命者=伯亜両国に自制求める声も

 5日から始まったリオ五輪は、様々な意味で史上初の五輪と呼ばれる点があるが、その一つは、亡命者や難民の中から選ばれ、国旗を持たない選手団がある事だ。
 国際オリンピック委員会(IOC)の名の下で集められた選手は、柔道のヨランデ・マビカやポポレ・ミセンガ(コンゴ出身、リオ在住)や、水泳のユスラ・マルジニやラミ・アニス(シリア出身)、陸上のパウロ・ロコロ(南スーダン出身、ケニア在住)などで、内戦などで母国を離れ、異国で暮らしている。
 ヨランデやポポレは汎米大会で来伯後にブラジルに残った亡命者で、リオ市内で柔道の訓練を続けていた6月始め、亡命選手団の選手に選ばれたとの連絡を受けた。同様に五輪旗の下で競技に参加する資格を得た選手達は、様々な過去と新たな希望を胸に開会式に臨んだ。
 ポポレとヨランデは10日に行われた試合に参加した。結果は共に予選落ちだったが、2戦目で敗退したポポレが会場内に響く「ポポレ!」の声に感動した様子は、同日のグローボ局の番組でも報道された。また、試合の様子が世界中に放映されれば、連絡さえ取れなくなった家族と再会する機会が持てるかもと考えていた事も、G1サイトなどで報じられた。
 だが、亡命者として畳の上に立った二人を応援したのは、その事情を知るブラジル人だけではない。同じ立場故にその心中や苦労を知る、コンゴをはじめとする国々からの亡命者はこの日、リオ市内のカリタス修道女会本部に集まり、二人を応援した。この企画は、ブラジルの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR、ポ語ではACNUR)のサイトでも案内され、広く参加が呼びかけられた。
 亡命選手団の活躍は同事務所のツイッターやリオ五輪の公式サイトなどで報じられており、10日には、クエート出身のフェハイド・アルディーハニが、射撃のダブルトラップで同選手団初の金メダルを獲得した。
 なお、ブラジル人が応援に熱が入る余り、野次や騒音といった問題が招き、外国人選手らから苦情が出ている事は既に報じたが、その他にも、隣国アルゼンチンとのライバル意識故に、観客同士の喧嘩といった問題も生じている。これを受け、両国政府関係者や元選手達が「節度を持った応援を」と呼びかけ、「平和的な応援キャンペーン」を打ち出したりした事は、9日付リオ五輪公式サイトや10日付G1サイト、同日付リオ・メディアセンターサイトなどが報じている。