最高裁判所は17日、公的機関の採用試験で刺青を入れた人の採用を拒否することを禁止した。
最高裁の判決は、サンパウロ州の消防士採用試験で、検診で右足に14センチの部族的な刺青が発見されたために不採用となった男性からの上告を受けたものだ。採用規定では、「道徳と優良な習慣」に反し、顔や前腕、手、胸などを覆ったり、訓練服を着た際に見えてしまったりするような刺青を入れている候補者は不適格と記載されている。
最高裁判事たちは、7対1で、刺青を理由に不採用とする事を禁止する事を決めた。ただし、他人を脅かし暴力を連想させるものや、人種や肌の色に対する差別、拷問やテロリズムを賞賛するようなものといった違憲的なものは例外とする。
この判決内容は、類似の事例の判断を行う際の判例とされる。
この事例の報告者、ルイス・フックス判事は、刺青は公共サービス従事者の採用拒否の理由にはならないと主張した。「警官に刺青がある事でその警官の良し悪しが決まるわけではない。また、刺青を入れている事がその人の名誉や仕事へのプロ意識、仕事、所属機関への敬意などを汚すはずはなく、その人自身の競争力を低下させるわけでもない」と語った。
同判事はその後、公務員という職制を鑑み、制限に値する事例をまとめた。「テロリズムや過激主義者を表現し、暴力、犯罪、人種差別や偏見など、民主主義に反対するようなものを連想させるものでなければ、公務員としての職務遂行を妨げはしない」とした。
フックス判事に同意したルイス・ロベルト・バローゾ判事は、州は人々に刺青禁止を強要することはできないとした。その後、公務員試験で失格になる理由と考えられる事例を挙げた。
「刺青は表現法の一つであり、それを制限するための規定に盛り込むべき事例は少数のはずだ。例えば、同性愛者への脅迫や、人種差別などを表現したものは制限に値する」と語った。
唯一意見が分かれたのはマルコ・アウレリオ・メロ判事で、今回の上告の場合、採用規定に刺青に関する条項が明記されていたとして反対した。「公務員採用に際する刺青制限の内容が妥当な場合は、その規定が尊重されるべきだ。今回問題になったのは全ての公務員の採用試験ではなく、サンパウロ州の軍警所属の消防士に関する採用試験だ。この例を国法に照らし合わせるなら、軍警や消防士は軍兵であり、陸軍の予備兵に相当する」とした。
この考え方は、サンパウロ州地裁が刺青で失格した消防士応募者の上訴拒否の際にも取り入れられた。同地裁は同件の審理の際、刺青に関する項目は採用規定に明記されており、刺青を入れている候補者はその事を認識していたはずとの判断を下している。
今回の最高裁の判断は一般の労働者市場での採用試験にも影響を及ぼす可能性が強い。研修生支援センターが1万4千人強の若者に対して行った調査によると、回答者の25%が、新規採用の際は刺青を入れている人にはなんらかの制限を設けるろうと語ったという。
この調査結果は一般の労働市場の若者の間にも刺青への抵抗がある事を示している。(17、19日付G1サイトより)
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