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激しい口論も見られた弾劾裁判初日(Pedro França/Agência Senado)
激しい口論も見られた弾劾裁判初日(Pedro França/Agência Senado)

ジウマ大統領罷免=弾劾裁判遂にはじまる=下院での受付から9カ月で=初日は原告側の証言から=勝利に自信を見せるテメル

 25日、上院で、ジウマ大統領(労働者党・PT)の罷免をめぐる弾劾裁判がはじまった。罷免か否かの決着は31日までに着くが、ミシェル・テメル大統領代行(民主運動党・PMDB)は罷免規定の54票を大きく上回る得票に自信を見せている。25日付伯字紙が報じている。

 大統領罷免審議は、昨年12月、ジウマ大統領が前任期最終年の2014年に行い、違法との判決を受けた連邦政府の粉飾会計を、2期目初年の15年も繰り返して行っていたことなどを問題視した3人の弁護士が提出した、財政責任法違反を理由とする罷免請求を、当時のエドゥアルド・クーニャ前下院議長が受け付けたところからはじまった。
 罷免請求はそれ以前も出ていたが、14年の粉飾会計を理由としていたため、現在の任期の問題ではないとして、請求が却下されていた。
 罷免審議は当初、下院と上院共に3分の2以上の罷免賛成確保が難しいと見られていた。だが、ルーラ元大統領の豪邸改築を媒介とした収賄疑惑や、同件での逮捕を避けるための同氏の官房長官就任(結果は無効)、経済指標悪化など、直接的な議題でない問題や世論も影響し、4月17日に下院を通過。5月12日に上院が審議受付を決めたことでジウマ氏は停職に追い込まれ、テメル暫定政権が誕生した。
 それから約3カ月半後の25日に実現した弾劾裁判は、リカルド・レヴァンドウスキー最高裁長官による開会宣言と共にはじまった。初日は裁判の進行方法についての説明や質疑応答の後、ジウマ大統領の罷免を求める原告側の証人として、連邦会計検査院(TCU)検察官のジュリオ・マルセロ・デ・オリヴェイラ氏とTCU公聴人のアントニオ・カルロス・カルヴァーリョ氏が証言台に立った。
 今日26日は、ジウマ大統領側の弁護のため、6人が証言台に立つ。その中には、ジウマ政権の元企画相、ネルソン・バルボーザ氏の名前が含まれている。弁護側の証言への質疑応答は、週末も継続される見通しだ。
 テメル大統領代行は24日、今回の弾劾裁判に関して、「54票なら既に獲得している」と言い切った。今月10日未明に行われた弾劾裁判の実施決定の投票では59票を得ているが、テメル氏側はこの数を63票まで上げて勝利を決定付けたいとしている。
 伯字紙の罷免の得票予想では、フォーリャ紙が罷免賛成48票、反対18票、エスタード紙が賛成49票、反対18票となっており、現状では罷免賛成派がかなり有利だ。残り15~16人から5~6票賛成票を獲得すれば罷免は成立する。
 テメル氏はこの数日間で、まだ意思表示をしていなかった、主に北伯、北東伯の上議らと会談しており、彼らの賛成をとりつけたとみている。