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25日の上院での白熱する議論(Marcelo Camargo/Agência Brasil)
25日の上院での白熱する議論(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

ジウマ弾劾裁判=初日から大紛糾状態に=カイアードとPT上議対立=グレイシの夫の件まで飛び火=議論の長期化は必至か

 25日からはじまった上院でのジウマ大統領弾劾裁判は、原告や被告側の証言よりも、労働者党(PT)上議と、民主党(DEM)党首のロナウド・カイアード上議との激しい口論の方が注目を集める形で進行し、それが2日目の26日も続いている。26日付伯字紙が報じている。

 上院での火花は25日午前中から散りはじめた。ジウマ大統領罷免を阻止したいPT議員らは再三、リカルド・レヴァンドウスキー最高裁長官に弾劾裁判の取り止めを求める質問を行ったが、それらは却下された。
 だが、ジウマ氏の弁護士のジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ元法相は、原告側証人のジュリオ・マルセロ・デ・オリヴェイラ氏の「証言」を「情報提供」に格下げすることに成功した。元法相は、オリヴェイラ氏は連邦会計検査院検察官でありながら、ジウマ氏に対する抗議行動への参加をフェイスブックで呼びかけるなどしており、証人には不適格と指摘し、レヴァンドウスキー長官がそれを認めた。PT側はレヴァンドウスキー長官の裁量を喜んだが、罷免派議員は「票には影響しない」と見ている。
 だが、25日の話題をさらったのは、証言そのものよりも、上議たちによる激しい口論だった。
 そのきっかけは、元官房長官のグレイシ・ホフマン上議(PT)がマイクを握り、「上院には人を裁けるような倫理のある人は誰もいない。半数はジウマ氏を裁けるようなモラルなど持っていない」と話しはじめたことだった。
 それに対し、カイアード氏が、グレイシ氏の夫でラヴァ・ジャット作戦で逮捕された元PT政権閣僚のパウロ・ベルナルド容疑者を皮肉る発言を行い、事態が悪化した。
 そこで、審理のはじめから果敢な発言を繰り返していたリンドベルグ・ファリアス上議(PT)がカイアード氏を指差しながら「カナーリャ(この悪党が)」と叫ぶと、カイアード氏が「ドーピング検査でも受けた方がいいんじゃないか? におうぞ」と返したことで上院は騒然となり、審理が一時中断した。
 この対立は2日目も続いた。26日朝は、レナン・カリェイロス上院議長が「昨日の事態はレヴァンドウスキー長官や国民にも失礼だった」と謝罪した後、グレイシ氏に「昨日のような発言はあってはならない」と忠告した上、「7月に最高裁に掛け合い、グレイシ氏とその夫に対する起訴状の取り下げと証拠物件の返還を申し出たのに」と発言したため、PTはじめ、野党側が反発。ここでも審理が中断され、早めの昼食となった。
 25日の証言では、TUCのオリヴェイラ氏の「13、14、15年の連邦政府の会計は同じ経済スタッフで行われている。財政政策に関して、ジウマ氏が関知していなかったとは思えない」との発言が注目を集めた。
 26日にはじまった弁護側の証言には6人が立つが、前述のような中断続きで進まず、27~28日まで長引きそうだ。