ブラジル沖縄県人会(島袋栄喜会長)は、前身である球陽協会創立から90年の節目を迎え、『写真展』『琉球芸能の夕べ』公演と『記念祝典』を盛大に敢行した。母県からは県議会及び各市町村からの慶祝団55人ほか、隣国の沖縄県人会からも駆けつけた。県系の若者が見事な伝統芸能の舞いを見せ、190万日系人口の約1割を占める「マンモス県人」の力を内外に示した。
母県慶祝団は2日、サンパウロ州議会記念ホールで開催された『写真展』を訪れた。第1回移民船・笠戸丸から奥地開拓に至る先人の足跡。球陽協会創立から沖縄戦災救援運動、現在までの歩みが写真パネルで紹介された。
西本エリオ州議が出迎え、フェルナンド・カペス州議会議長は貴賓室で慶祝団を大歓迎した。「真面目で勤勉な日本移民は多大な貢献をしてくれた。感謝と敬意の念を持っている。サンパウロ州議会を沖縄の議会と思ってください」と温かく迎えた。
柔道代表選手の知花チャールズの活躍に話が及び、柔道に造詣の深いフェルナンド議長との会話が盛り上がった。「20年の東京五輪で沖縄発祥の空手が正式種目に認定されたことから、県に空手会館建設が予定されている」と沖縄県庁の照喜名一統括監が紹介すると、「メダル獲得が益々期待できますね」と歓談を楽しんだ。
ウチナーンチュ文化をブラジル社会に堂々と発信したい―。そんな思いからサラ・サンパウロで3日に開催された『琉球芸能の夕べ』。琉球王朝時代の古典から現代芸能まで、総勢96人の出演者による優美な琉球芸能で1200人以上の来場者を魅了した。
「かぎやで風節」でしめやかに始まり、途中二人がかりで担がれた大蛇と獅子の迫力ある決闘のシーンや若手の圧巻の太鼓では観客席から大喝采が巻き起こった。最後は会場が一体となってカチャーシーを踊り、お祝いムード一色となった。
プロデューサー役を任された琉球舞踊玉城流扇寿会の斉藤悟さんは公演を終えると涙を浮かべ、「こんな立派な舞台で沢山の方に見に来て頂いて感無量。無事終えることができ、協力してくれた皆さんに感謝したい」と肩をなでおろした。西本エリオ州議の尽力で同会場の使用が特別に許可され、「様々な流派の垣根を越えて凝縮した内容にするのは大変だった」と振り返った。
沖縄県生まれの呉屋春美文協会長は「ウチナーンチュとして誇りに思います」と笑みを浮かべた。新里米吉沖縄県議長も「レベルが非常に高く大成功ではないか。非常に頼もしい」と印象を語り、ブラジル人観客も見えるなか層の厚さを感じさせるものとなった。
ジアデマ市沖縄文化センターで4日に開催された記念祝典では500人以上が出席し、創立90周年を盛大に迎えた。挨拶に立った島袋会長は、「『ゆいまーる(助け合い)』と『いちゃりばちょーでー(出会ったら皆兄弟)』の精神を発揮し、今日の県人会の基礎を築いてくれた」と先駆者を顕彰し、「後継者育成、ウチナーンチュ世界ネットワークの構築、ブラジル社会への普及と統合に全力を尽くしたい」との意気込みを表明した。
沖縄県庁の照喜名一統括監は、「第5回世界のウチナーンチュ大会で1200人のブラジル日系人が参加し、国際通りをパレードしたのを今でも忘れられない」と振り返り、翁長知事の祝辞を代読した。新里米吉議長は「ブラジルでは五輪開催など著しい発展を見せるなか、各界で沖縄県系人が活躍され、誠に心強く大きな誇りでもある」と賞賛し、今年10月に開催されるウチナーンチュ大会への参加を呼びかけ、更なる友好関係の発展を期待した。
会場で運営を支えた沖縄県留学生研修会OB会「うりずん」会長の松本カリナ・サトさん(27、三世)は、12歳で琉球国祭り太鼓を始め、13年に一年間の留学を経験した。「基地問題が身近な問題であることを切に感じた。年長者への敬意も凄く強く感じた」と語り、「今後は私たちの活動により、もっと活性化させていければ」と目を輝かせた。
深甚なる敬意と活躍への期待=沖縄県知事 翁長雄志
ブラジル沖縄県人会創立90周年記念式典が盛大に開催されますことを心からお祝い申し上げます。貴県人会の起源は1926年、移民に関する様々な制度を改善する目的で設立された球陽協会にあります。先人達は様々な困難を乗り越え、今日の礎を築かれました。このことは歴代会長をはじめとする皆様の並々ならぬ努力の賜であり、深甚なる敬意を表します。
そして、進取の気性に富んだ勤勉さと助け合いの精神を受け継いだ皆様が、先人達の築いた生活基盤を守り、発展させ、ブラジル連邦共和国の良き市民として様々な分野で活躍されていることは、沖縄県民にとっても大きな誇りであります。
沖縄県は、戦前戦後の様々な困難を乗り越え、成長発展を遂げております。とりわけ皆様からは、大戦前後に、物心両面に亘り多大な支援を寄せて頂きました。私どもは、その御恩を決して忘れておりません。この場をお借りして、県民を代表し改めて心から感謝申し上げます。
県人会の皆様には、90周年を契機に、今後ともウチナーネットワークを担う若い世代の育成に力を入れていただくとともに、ブラジル連邦共和国と母県沖縄との友好の架け橋として、御活躍することを期待しております。
10月には「第6回世界のウチナーンチュ大会」を開催いたします。今大会のキャッチフレーズ「ウチナーの躍動・感動世界へ響け!」にあるとおり、沖縄の持つソフトパワーを世界に発信し、「世界に開かれた交流と共生の島」に繋がる、ウチナーネットワークの継承・拡大を推進して参りたいと思います。
皆様には、大会の成功に向け、御支援と御協力を賜りますようお願い申しあげ、多くの方々に御参加いただくことを県民一同お待ちしております。結びに、ブラジル沖縄県人会並びに沖縄文化センターの一層の御繁栄と皆様のますますの御健勝、御活躍を祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。
結束と繁栄への決意新に=ブラジル沖縄県人会・ブラジル沖縄文化センター会長 島袋栄喜
ブラジル沖縄県人会創立90周年記念式典の開催に当たり、ご臨席を頂きました皆様に衷心より感謝致します。また、翁長雄志県知事はじめ各ご一行様よりご丁重なメッセージを頂き大変ありがとうございました。厚くお礼申し上げます。
ブラジル沖縄県人会は1926年8月22日、球陽協会の名称で創立されました。沖縄伝統の〃ユイマール〃、〃イチャリバ・チョウデー〃の精神を発揮して、日本政府による沖縄県人移民禁止令の全面撤廃運動や沖縄戦災救援運動を行い、幾多の困難を乗り越えてきました。戦後には沖縄県人会を創立し、今日へ至る基礎を築いて参りました。
若い世代が沖縄の芸能・文化に積極的に取り組んでいる姿を見る時、先人たちが伝統文化の継承と普及に心血を注ぎ努力してきた苦闘が改めて想いおこされます。その功労に対し、深甚なる敬意と心からの感謝を表したいと思います。
私たちは、先人たちの遺産をしっかりと受け継ぎ、後継者の育成、ウチナーンチュの世界ネット・ワークの構築、ブラジル社会への普及と統合に全力をつくさなければならぬ覚悟を新たにするものであります。
南米の若者交流のための〃ニーセーターツアー〃、留学生OB会〃うりずん〃、母県の推進する〃ジュニア・スタディー〃、各種研修、留学生制度は全て私たちの目的達成のための重要な鍵であります。
10月に開催される第6回世界のウチナーンチュ大会は、世界中の沖縄県系人たちが一堂に会し、ウチナーンチュの結束と繁栄に寄与するものと確信しております。
終りに、90周年記念祭典のために力を尽くしたすべての皆さんに深甚なる感謝の意を捧げます。有難うございました。イッペー ニヘー デービル。
沖縄県庁
沖縄県文化観光スポーツ部交流推進課 文化スポーツ統括監 照喜名 一
沖縄県文化観光 スポーツ部 交流推進課主査 呉屋 良松
沖縄県文化観光スポーツ部 交流推進課国際交流員 当山 樋口 アルトゥーロ
沖縄県議会
議長 団長 新里 米吉
議員 具志堅 透
議員 島袋 大
議員 中川 京貴
議員 座喜味 一幸
議員 仲田 弘毅
議員 翁長 政俊
議員 仲宗根 悟
議員 山内 末子
議員 新垣 清涼
議員 渡久地 修
議員 嘉陽 宗儀
議会事務局総務課 参事兼課長 上間 司
議会事務局総務課 主査 杉本 ちとせ
添乗員 沖縄ツーリスト 佐久田 トニー
那覇市
市長 城間 幹子
議会議長 金城 徹
議会事務局長 小嶺 理
市長秘書 宮城 洋之
平和交流男女参画課 照屋 ルジア 美雪
添乗員 沖縄ツーリスト 喜屋武 あゆみ
町村会町村議長会
南風原町長 団長 城間 俊安
国頭村長 宮城 久和
国頭村会議長 金城 利光
大宜味村長 宮城 功光
東村議長 安和 敏幸
今帰仁村総務課長 島袋 輝也
今帰仁村議長 東恩納 寛政
本部町教育長 仲宗根 清二
読谷村長 石嶺 傳實
読谷村議長 伊波 篤
嘉手納議長 徳里 直樹
北谷町長 野国 昌春
北谷町議長 田場 健儀
与那原副町長 照屋
南風原町議長 宮城 清政
八重瀬町議長上原 勝彦
町村議長会事務局長 石垣 安秀
町村会課長(企画振興課) 照屋 茂樹
沖縄ツーリスト 奥濱 靖
豊見城市
市長 宜保 晴毅
市議会議長 大城 吉徳
市企画情報課長 宮城 盛秀
北中城村
教育長 森田 孟則
議長 比嘉 義彦
総務課職員・一般参加 譜久山 綾乃
一般参加 派遣生 仲本 結美
一般参加 派遣生 佐久本 樹
一般参加 仲本 善通
一般参加 仲本 正子
一般参加 大田 繁
一般参加 大田 千枝子
一般参加 大泊 スエ子
一般参加 伊佐 明美
沖縄県人会・沖縄文化センター役員名簿
歴代会長終身評議員 山城 勇
相談役 与那嶺 ルベンス
相談役 崎間 達雄
評議員会長 与儀 昭雄
第一副会長 前田 徳蔵
第二副会長 崎間 達雄
会長 島袋 栄喜
第一副会長 高安 宏治
第二副会長 上原 テーリオ
第三副会長 西原 正三
第四副会長 垣花 輝明
第五副会長 比嘉 パウロ
第六副会長 比嘉 ユキオ
第一書記 小波津 セルジオ
第二書記 島袋 安雄
第一会計 目差 博敏
第二会計 平良 栄子
第一監査 亀谷 パウロ
第二監査 松元 シンコ
第三監査 新城 パウロ