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マット・グロッソ州=発電所ダムからオイル漏れ?=河川流域先住民に深刻な影響

 出所不明の油が、マット・グロッソ州とパラー州の間を流れるテレス・ピレス川に流出し、流域を汚染していると17日付現地紙が報じた。
 12日に初めて発見された油の染みは、川下に流れ、流域の先住民族への水の供給も脅かしている。油流出の原因と汚染された地域の広さは、ブラジル環境省の国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)が調査している。
 テレス・ピレス川の油流出の原因が同川流域のサン・マノエル水力発電所の貯水ダムなのか、他の要因によるものかは判明していない。同河川でよく見受けられる不法採掘者のボートが沈められ、そこからガソリンが漏れた可能性もある。
 サン・マノエル水力発電所の所有会社、エネルジア・サン・マノエル社は、ボートを出して、同川流域に住む80世帯、約320人の先住民族に、大型の水のボトルを届けている。
 流域の先住民族の族長であるタラヴィ・カイアビ氏は、「15、16日で、合わせて約4200リットルの水を受け取った。ここは我々にとっての聖地。ダムは付近の土地を水の底に沈めただけでなく、川の水を汚染した。魚はいなくなり、住民は下痢で病気になっている。みんな健康状態を非常に心配している」と語った。
 ブラジル社会環境院(ISA)の弁護士で、同地域に住んだ経験もあるジュリアナ・デ・パウラ・バチスタ氏は、「水力発電所から60キロの範囲には他にも少なくとも900の部族が住んでおり、川の下流には8千人の先住民が住む居住区もある。これらの先住民居住区はどこも、水道が敷設されていないから、被害が拡大する可能性は大きい」と警鐘を鳴らしている。
 エネルジア・サン・マノエル社は、「流域の監視を続けると共に、原因究明に努めている」と発表するに留まっている。