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サンパウロ市=製薬会社の寄付で薬不足解消=企業家のドリア市長の新対策

製薬会社の代表達との会合中のドリア氏(Fernando Pereira/SECOM-PMSP, 8/fev/2017)

製薬会社の代表達との会合中のドリア氏(Fernando Pereira/SECOM-PMSP, 8/fev/2017)

 サンパウロ市のジョアン・ドリア市長と同市保健局のウイルソン・ポララ局長が8日、製薬会社12社の代表と会い、同市の医療機関で不足している医薬品を緊急調達する方策を話し合った。
 この会合で合意に達した新しい対策は、有効期限が切れるまで6カ月以上ある薬、165種類を製薬会社から寄付してもらうというものだ。
 通常の薬局では、有効期限が1年をきった薬は置いておく事が出来ないため、製薬会社が回収して処分する必要がある。だが、それを寄付してもらい、3カ月以内に使い切るよう指導する事で、サンパウロ氏は3500万レアルを節約する事が出来るという。
 サンパウロ市内458の保健所には、医師が処方する基本的な医薬品375種類を無料で配布する薬局があり、市は月々4千万レアルを費やしているが、16年半ば頃から、継続して服用しなければならない薬が何カ月も手に入らないといった苦情が目立つようになっている。
 これを解消するために採用される事になったのが、製薬会社からの寄付で、製薬会社側は、薬局から回収した後の薬の在庫を吐き出すチャンスともなる。
 寄付の対象となる165種類の薬は、高血圧や糖尿病、高コレステロールの治療薬、抗炎症剤、鎮痛剤などで、市が無料で受け取る約束を取り付けたのは3億8千万錠分だ。これらの薬の製造実費は1億2千万レアルかかるが、サンパウロ州のジェラウド・アウキミン知事は既に、寄付される医薬品について、薬の消費者価格に18%に相当する商品流通サービス税(ICMS)を免除する事を承認している。
 保健所での薬不足は、不況のために医療プランを続けられず、公共の医療システムを利用する人が増えた事などで、16年は毎月の薬の需要が、52万錠から67万6千錠にと30%増えた事などが原因だ。
 ドリア市長が製薬会社と話し合って決めた新対策は、8日の内に公式に発表された。寄付された薬が実際に患者に配布されるようになるのは2月20日以降。新対策の導入に伴い、保健所内の薬局で受け取っていた医薬品は、処方箋持参の上で指定された薬局に行き、入手するよう、システムが変更される。これにより、市役所は各保健所への薬の配布費用(年5億レアル)も節約できる見込みだ。薬を必要とする人達も、約3千カ所の薬局が利用できるようになるため、入手が容易になるはずだという。(9日付エスタード紙、フォーリャ紙、フォトス・プブリカスなどより)