ブラジル国外に所持している未申告資産を申告し、政府に罰金と所得税を支払うと資産が合法化されるレパトリアソン法は、昨年、公庫に470億レアルもの収入をもたらした。今年もレパトリアソン法を実施するに当たり、国税庁が申告された資産がそもそも違法な資産だったのかを確認していると、26日付現地紙が報じた。
ブラジル国税庁は、申告した国外資産の額が、収入には不釣合いな人物に狙いをつけている。違法資産の疑い有りとされた人物には、8月か9月に出頭命令が出される見込みだ。
未申告の資産が、国外に所持していたこと以外は正当だったと証明できないと、レパトリアソン法の対象外となり、その資産、人物は刑事捜査の対象となる。
疑われているグループの一つが公務員だ。何人の国家公務員がレパトリアソン法に申し込んだかは明かされていないが、給与とは不釣合いな巨額の国外資産をレパトリアソン法申請した公務員がおり、当局は汚職関与の疑いを持っている。
50年分の給与総額にあたる2千万レアルもの資産を租税回避地に持っていたと申告したケースや、違法な資金を第三者名義の口座などを使って資金洗浄したと疑われるケースもある。
「現実離れした、到底信じられない申告内容がある。一公務員がどうして資産を国外に隠す必要がある? 国税庁は疑わしい人物には出頭を命じる。資産の正当性を証明しなくてはならない」と、国税庁査察局副局長のイアガロ・マルチンス氏は語った。
レパトリアソン法は正当な方法で取得された資産だけが対象だ。レパトリアソン法申告のために提出したデータを唯一の証拠として刑事事件として捜査が始まったり、データだけを主要根拠として告発されたりはしないが、現在進行中の捜査や司法手続きの補強としては使われる。
また、今年のレパトリアソン法申請締め切りは7月31日だが、現時点での公庫への予定収入は10億2700万レアルにしか達していない。政府は2500件の申請があり、29億レアルの収入があると見込んでいたが、締め切りまで1週間の24日時点の申請数は1107件のみだ。
レパトリアソン法の収入は、連邦政府、州政府、各自治体で分けられるため、これまでの申告分で見込まれる10億2700万レアルの収入中、国庫に直接入るのは5億レアル程度だ。
政府は今年の財政目標設定の際にレパトリアソン法による収入を計算に入れており、それが予定以下だと、同目標達成も難しくなる。
政府は今年の基礎的財政収支を1390億レアル以内の赤字に収める事を目標としてきたが、税収やレパトリアソン法による収入が当初の予想を下回っているため、内々では既に、今年の財政目標見直しが議論され始めている。