演歌歌手・小桜舞子(テイチクエンタテイメント所属)の公演が19日14時と19時からサンパウロ市の文協大講堂で行なわれ、合わせて約2千人が集まった。小桜さんは鮮やかな着物を身にまとい、演歌、歌謡曲、民謡など幅広い楽曲を披露。二年連続となった当地での公演は盛況のうちに幕を閉じた。
「ブラジル大好き!」――。公演の終盤、観客総立ちのアンコールを受け、再び舞台に登場した小桜さんは目に涙を浮かべていた。「皆さんの温かい気持ちに感激しました。本当に嬉しい」。
公演は二部構成で、第一部では昭和の名曲を中心とし、第二部では小桜さんの楽曲や民謡などが披露された。
小桜さんは青い着物を身にまとって登場し、一曲目で藤山一郎の「青い山脈」を歌い上げた。二曲目以降は客席に降りて「瀬戸の花嫁」などの歌謡曲を歌い、周囲に殺到した観客との握手や写真撮影に応じた。
舞台上に戻った小桜さんは、昨年のブラジル国公演が決まったとき、事務所の後輩でブラジル出身のエドアルドさんに「ブラジルの人は熱い心を持っているから客席に降りたら握手だけではすまないよ」と言われたというエピソードを明かした。「今回も昨年同様、抱きつかれたりキスされたりしました。ブラジルならではですね」と話し、観客の笑いを誘った。
第二部は太鼓グループ・ひまわり太鼓による演奏で開幕。小桜さんは白の着物に衣装を変え、太鼓の演奏と共に自身の曲「ソーランおんな節」を歌った。
「ソーラン節」では歌う前に観客と合いの手を練習。小桜さんの歌に合わせて観客は「ハイハイ」「ハァードッコイッショドッコイショ」などと声を上げ、二階席まで一体となって盛り上がった。
アンコールでは「堀部安兵衛の妻」を熱唱。最後に唱歌「ふるさと」を観客と共に大合唱し、閉幕となった。
公演終了後には、小桜さんに握手やサインを求める観客が列を成した。小桜さんは「二年連続で公演ができたことも、一日に二回公演ができたことも、本当に幸せ。毎年定期的に来伯してサンパウロ以外でも歌いたい」と笑顔で話した。
昨年の公演も観たという観客の嶺井澄子さん(75、二世)は「とてもかわいらしかった。普段、カラオケで聴く色んな名曲を歌ってくれて嬉しかった」と満足した様子で話した。
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小桜舞子さんと来伯した興行会社・グローヴステージの北川泰彦代表取締役は、「普段から1千人規模のステージで歌うことが多いが、小桜の歌には一人一人に届く力がある。彼女は本当に頑張り屋で、どの瞬間も心を込めて歌う」と話した。
「だからこそサンパウロ市だけでなく、地方でも公演をして、実際に見てもらうことを目指している」と展望した。今後の公演について具体的には決まっていないというが、次回は是非とも全伯ツアーをやってほしいもの。