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商議所=新移民法セミナーを開催=永住ビザ消滅など変更点多数=30年ぶり、観光客にも影響

注目を伺わせた新移民法セミナー

注目を伺わせた新移民法セミナー

 ブラジル日本商工会議所は、佐伯法律事務所のミシェレ・アイダール弁護士を講師に招き、「新移民法セミナー」を先月19日に開催した。軍事政権下の80年に制定された旧法以来、約30年ぶりの改正となった新移民法では、保護主義的性格が色濃く、法的に不明瞭な点が多かった外国人に対する差別の撲滅が謳われ、その権利と義務が明記された。それに伴い、ビザ制度のみならず関係官庁の管轄や手続きにも変更が生じており、進出企業の駐在員のみならず、邦人観光客にも影響が及びそうだ。

 昨年5月25日付で公布された同法は、180日間のうちに施工規則が定められ、同年11月24日に施行されるはずだった。ところが、施行日になっても関係官庁の新体制移行が整わず、入国手続きで問題が多発。連邦警察でも外国人登録証の発行及び更新が停止となるなど企業関係者を悩ませていた。その状況に鑑み、年末休暇前に急きょ開かれたセミナーには、定員超過の70人以上が参加するなど注目度の高さを伺わせた。
 ミシェリ弁護士は、まず、ビザ申請手続きについて説明。従来、労働に伴うビザの申請する場合は、現地企業が労働許可を労働省に申請し、そこで認可を受けて外務省がビザを発給する流れだった。だが、今後は労働許可でなく、「居住許可」に変更される。
 具体的には、雇用関係のある居住許可は労働省、雇用関係のない居住許可は法務省が管轄する。従って、個別雇用あるいは役務提供契約に基づく雇用関係にある人と、職業訓練、技術補助及び技術移転の役務提供並びに経営管理者など雇用関係にない人とでは、申請先が異なってくる。
 また居住許可については、既にブラジルに滞在する人に適用される「居住許可」と、労働目的でブラジルに派遣予定の人に適用される「事前居住許可」に分かれる。従来、ビザ区分を変更する場合、外国人は出国した後に、新たなビザ申請をしなければならなかった。だが、居住許可の申請により、今後はブラジルに滞在しながらビザ区分を変更することが可能となる。
 また、ビザの種類についても大きな変更が生じた。従来あった永住ビザは消滅。区分は、訪問、一時滞在、外交、公用、非公式外交の5つに分かれ、前者の2つは新たに設けられた区分だ。
 観光、通過、商用などを目的としたものは、「訪問」に一括。日米加濠の四カ国民には、「電子査証発給制度」が導入される。通常、ブラジルの在外公館で申請した後、取得までには1週間程度要したが、ネット上で申請して、わずか72時間で取得可能となる。
 また、労働をはじめ研究留学、ボランティア、スポーツ活動などは、「一時滞在」に該当。経営管理者には期限がなく、その居住許可は職務行使に条件付けられ、技術補助及び技術移転は1年以内、個別雇用あるいは役務提供契約に基づく被雇用者は、その滞在期間は2年以内とされた。
 ミシェレ弁護士は「新移民法はまだ施行規則が定まっておらず、制度構築の段階にある。今後実務面で固まっていくだろう」と見ており、「人員を派遣する際には、その目的や職務、経験などに照らし、どのビザ区分に見合うかをしっかりと見極めて申請して欲しい」と訴えた。


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 ミシェレ弁護士によれば、12月時点で閉鎖されていた連邦警察の外国人登録窓口は、今月中にも再開される見込み。通常、入国から30日以内に登録手続きをしなければならないが、窓口が閉鎖され、登録待ちの状況だった。同弁護士は、窓口対応はやっていなくても申請は受付けているとし、期限内の申請を奨励している。なお、「RNE」(外国人登録証)は、今後は「CRNM」(移住国内登録証)に切替わる予定だ。
   ◎
 新移民法では、不法滞在の罰金についての改正もあった。これまで1日当たり8・27レ、最大で828・75レだった。今後は1日当たり100レ、最大1万レ。ただし、違反者の所得水準や再犯、その重大さに鑑みて罰金が決定されるという点は、旧法とは変わらない。また新移民法では、罰金は再入国する際の滞在期間縮小に変換されるとも規定しており、今後の連邦警察の運用に注視してゆく必要がありそうだ。