地理統計院(IBGE)が29日、新型コロナウイルス対策の影響を受け、2020年第1四半期の国内総生産(GDP)は1・5%減のマイナス成長となったと発表した。29日付現地サイトが報じている。
20年第1四半期は、投資が前四半期比で3・1%増と最大の伸びを示した。この部門は昨年度のGDPが伸び悩んだ原因と見られていたが、それを挽回する数字だった。その他、輸出が2・8%、農業が0・6%、政府支出が0・2%の伸びを記録した。
だが、家庭支出の2・0%はじめ、サービス業が1・6%、工業が1・4%、輸入が0・9%の落ち込みを記録。これらの項目が下降圧力となって1・5%のマイナス成長となった。この一連の下降の動きは、3月中旬からはじまった新型コロナウイルス対策の外出自粛令の影響を受け、消費が滞ったことをうかがわせる。
1・5%のマイナス成長という数字は、15年第2四半期に2・1%減を記録して以来の大きな落ち込みとなった。現在のGDPは、12年第2四半期のレベルとなっている。
第1四半期の結果は市場が予測した範囲だったが、これにより、17年から3年間続いた「ゆるやかな景気回復」の流れは断ち切られた。
ただ、コロナウイルスによるマイナス成長は国際的な現象でもあり、前年同期比で見てプラス成長の国は、インドの3・1%、ロシアの1・6%増が目立つくらいで、数は少ない。ブラジルのGDPは昨年同期比で0・3%減にとどまったが、第1四半期に感染爆発を迎えた中国では6・8%、フランスでは5・4%、イタリアでは4・8%、スペインで4・1%下がるなど、大きなダメージを受けている。
続く第2四半期はブラジルでもコロナの感染爆発が起きており、全国的な外出自粛期間の影響がより大きくなるため、第1四半期以上の落ち込みが予想されている。
第1四半期のGDP成長率発表後、パウロ・ゲデス経済相は「一刻も早い経済回復」を約束した。ただ、アナリストらは、「ゲデス氏はブラジルの経済回復を過大評価しすぎている。もっと現実を見るべきだったのでは」との声も上がっている。