二〇〇〇年十月十四日、サンパウロ市で第一回ブラジル日系団体連合会(UNEN)代表者会議が開かれた。しかし参加したのはわずか二十五団体に過ぎず、全伯の日系団体の統合をうたい文句に旗揚げした同連合会にとっては厳しい船出となった。同年三月の創立以来およそ九カ月が過ぎた。本格的な活動を開始するのは来年からになるが、運営面、資金面の問題、地方日系団体との関係など現時点で解決すべき問題はまだ多い。連合会の将来を考える上で欠かすことのできない存在である地方団体の関係者は連合会をどのように見ているのか、地方日系団体の会長、援協地区委員に意見を聞いた。
◇嶋田巧パラナ日伯文化連合会会長(ロンドリーナ)パラナ日文連としては連合会の存在は必要だと考える。しかしパラナ州の各文協がバラバラに連合会に加盟するのでは連絡の都合などで不便が生じてくる。日文連を一支部と考えここから各団体に連絡を取っていくという形が望ましい。連合会はあくまでも窓口的な存在。要人などが来伯した場合は別だが、地方の活動についてはこれまで通り続けていきたい。連合会には全伯日系団体の本部としてしっかりとした活動を期待したいが、支部そっちのけになるのはまずい。
◇神園良生汎アマゾニア日伯協会会長代行(ベレン)我々は東部アマゾン地域の連合体として活動している。しかし連合会は協会のほかに下部組織も一緒に加盟しろと言ってくる。それは我々の連合をくずすことにつながる。それなら加盟しないし、実際に現段階では加盟していない。我々としてはサンパウロの文協が全伯の代表機関だと認識している。どうしてもうひとつ必要なのか。いろいろと説明を受けてはいるが、連合会に加盟することでこちらにどんなメリットがあるのか今の時点ではよく分からない。従来アマゾン地域の活動はサンパウロの影響を受けていない。組織そのものには反対ではないが今の段階では入らない方がいいし、その方がやりやすい。
◇五十嵐二郎ノロエステ連合日伯文化協会会長(アラサツーバ)これまではサンパウロの文協が代表機関と考えられてきたが、サンパウロの文協は一地方文協に過ぎない。全伯の日系団体の連合体としての連合会が存在することは望ましい。連合会があることで、全伯日系団体の窓口機関として対外的にもいい。一方でサンパウロの文協がこれまで四十五年間果たしてきた役割には感謝すべき。ただコロニアの世代交代が進む現在、この辺りできちんとした組織を作る必要があると思う。連合会を成功させるためには各団体が強調して支援していかなければいけない。現在はサンパウロ文協の会長が会長職を兼任しているが、連合会の力を強めるためには若いリーダーを選ぶことも一つの考えだ。ただ中央集権的な組織になるのではなく地方での活動はそれぞれの地方団体にまかせるべき。連合会としては各支部に理解を求めなければいけないし、地方でも連合会の存在意義を理解しようという努力が必要ではないか。
◇山元治彦モジ文化協会会長(モジ・ダス・クルゼス)これまではサンパウロの文協が全伯の日系団体を代表してきたが、そこには全国の団体を納得させる法的な根拠はなかった。今回連合会が発足したことで組織的にはすっきりした。対外的にも組織がはっきりしているほうが対日交渉などやりやすい。ただまだできたばかりなので各支部もそれほど必要性を感じていないのではないか。それぞれの団体が自分たちの活動で精一杯で連合会まで目を向ける余力がないという現実もある。連合会が見切り発車でスタートしたのは事実。しかし出来た以上はみんなで支えていかなければいけない。もし連合会がつぶれればこうした組織を作る機会は失われるだろう。現在コロニアは世代交代の過渡期にある。ブラジルの社会で活躍している二世、三世の世代に活動の中心が移れば、日系団体の活動も今とは違った意識の活動に変わっていくだろう。一つの社会勢力として日系を考えるとき、連合会のような組織の存在は重要な意味を持つ。連合会には日系社会を代表する機関として発展してもらいたい。そのためにも求心力のあるリーダーが求められる。