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お健やかに天皇ご一家

 天皇、皇后両陛下には健やかに新年を迎えられた。旧年の暮れには皇太子ご夫妻に待ち焦がれていたお子さまが誕生し皇居での参賀記帳に十二万人もの人々が長蛇の列となったのも微笑ましい。都内や各地では提灯行列や花火を打ち上げての慶祝行事が盛んだったし、ここブラジルの日系社会も慶びに沸いた。
 ご誕生の内親王さまのお名前は「愛子(あいこ)」ご称号は「敬宮(としのみや)」と決まった。出典は「孟子」で「愛人者、人恒愛之、敬人者、人恒敬之」の引用であり「敬愛」の大切さを表現されたという。これをお選びになった鎌田正、米山寅太郎両氏は世界的な漢学者であり、これに国文学者の秋山虔・東大名誉教授が加わり検討されてのお名前とされる。この「命名の儀」で感動的だったのは天皇陛下が皇太子ご夫妻の意向を最大限に尊重されたことである。皇室には長い歴史と伝統があり、本来はお孫さまであっても陛下が直接ご命名になるの仕来りがある。此度は敢えてこの方式を廃して皇太子殿下と雅子妃殿下ご夫妻のお選びになったものを陛下と皇后さまがご尊重されたところがうれしい。今上陛下は美智子皇后とともに皇太子、秋篠宮、紀宮さまと皇室史上初めて「同居生活」を取り入れられてもいる。「命名の儀」でも昔からの伝統を重んじながらも新しい時代にふさわしい在り方を示されたのは素晴らしい。
 どちらかと言えば男性直系を重んじる傾向の強い日本では「内親王ご誕生」の報にいささかなる不満を抱く向きも多いらしいのだが、女帝が誕生しても決しておかしくはない。世論調査では、女性天皇容認派も八〇%近くに達している。女帝支持の大半が若い世代というのも頼もしい限りである。竹の園生の更なる彌栄を祈りつつ。