去年今年貫く棒の如きもの(虚子)。慌ただしく旧年は去り、正月が賑々しく訪れる。平成十四年の幕開けは、静であってほしいと願うのだが世界の彼方此方では硝煙弾雨が激しい。二十一世紀の始まりは九月十一日の米中枢テロで一挙に暗転し、米軍のアフガン報復攻撃へ。日本も「顔の見える支援」に踏み切らざるをえなくなり、海上自衛艦を派遣する▼この政策転換は速かった。新しい法律の制定に手間取ったの嫌いはあるけれどもこれまでは禁句であった海外派遣が実現できた意味は大きい。集団的自衛権や有事法制の研究にも言及されるようになったのも喜ばしい。もう、一国平和主義だけでは通らないし世界の一員としての行動が要求される。そんな時代なのである▼今年の課題は、小泉内閣の「構造改革」が何処まで進むかだろう。特殊法人の廃止や民営化の大筋は決まったけれども、政府系金融機関は先送り。官僚などの抵抗は未だに根強い。いや、単に特殊法人だけではなく政治と行政を全面的に見直す覚悟がないと未来展望は開けまい▼コロニアとしては百年祭や日伯学園など課題は山積しているのだが文化協会の動きは鈍い。新任の赤阪総領事から尻を叩かれてやっとボソボソでは先行き不安─。本来なら強い指導力を発揮して幟を立てるの気概と決意がなくてはいけないのに現状は青菜に塩では真に以て無念と申すほかはない。(遯)