何よりも理念持つ人=商工会議所会頭 田中信
2003年1月1日(水)
リーダーの理想像は時代によって変わらない。それは、日本人の心の糧である中国の古典によっても証明される。
中国では上に立つ人の心得として、下の人の手本となり、目標を周知徹底させ、やる気を奮い立たせるように教えている。立志と言います。任を責めることを責任といい、部下がきちんと任務を果たしているか見届けることです。人材を求めることを求賢という。下君は己の能を尽くし、中君は人の力を尽くし、上君は人の能を尽くすものです。
リーダーに最も必要な条件は、何よりも理念を持っていることです。行動力はその次に必要なものです。人望はあまり必要とは考えません。毀誉褒貶があっても自分の意見を持つことの方が大事です。リーダーシップは必要。財力もある程度必要。団体運営には経理感覚が要求されます。容姿については、男は四十過ぎたら自分の顔に責任持てという。顔に出てくる。リーダーは公のために滅私奉公しなければいけない。ブラジルではある程度の地位に就くと、その地位を利用するのは当然という考えがある。家族環境、自己顕示欲は必要ありません。過去の実績はある程度必要でしょう。
トップの責任は重い。今の日本は一千四百兆円もの個人金融資産がありながら、国民は将来に不安を抱いています。日本は財政資金をいくら投じてもよくならない。
ノモハン事件(一九三九年)で日本軍を壊滅させたソ連軍のジューコフ元帥は、「日本の下士官は優秀。下級将校は狂信的な勇敢さで戦う。高級将校は無能」と言っています。日本民族のリーダーは堕落しやすい、ということを心に留めたい。
文協については赤字を明確化することが必要です。でなければ次のリーダーが引き継ぎようがない。だれが赤字を負担するかは、別の問題です。
◇文協は今、経営理念の再追求=改めて問う=日系社会の新リーダー像