2003年1月1日(水)
四十五年間、文協で働かせていただいた関係で言わせてもらえるならば、リーダーの中のリーダーだなと思いますのは、やはり、初代文協会長の山本喜誉司さんでしょうか。
その当時、リベルダーデ広場九十番にあった事務局が三百平米だったんですけど、その時に十三階建ての日本文化の殿堂を建設するという大構想を打ち立てたんですから。
これは今の感覚にするとパウリスタ大通りに五十階のビルを建てるといったようなものですよ。もちろん反発も大きかったですが、それを押さえて、実行に移した。政治力がいかに凄かったかということですよね。日本でも顔が利いた人でもありましたね。
しかし、ちょっと立ち寄れないような威厳も持ち合わせていました。そういう持って生まれたものもリーダーに必要ですよね。
この人だからついて行くといったカリスマ性もありましたね。私なんかもそのころ薄給で「他に行こうかな」なんて思ったこともありましたけど(笑)、やはり山本さんの下で働きたいという気持ちが強かったのは確かです。
山本さんを例に挙げましたけども、やはりリーダーに特に必要とされるのは先見の明があり、何がこれからの社会に必要なのかを見切り、後世の人に必要な構想を打ち出すことではないでしょうか。
かつ、いままでのものは一世の発想でしかありません。これからは世代交代の時代で二世、三世どころか四世、五世の時代ですからそういう時代にあったリーダーの出現を待ちたいですね。しかし、わたしの見た感じではもうすでにその兆候や芽生えが感じられるのは嬉しいところで大いに期待したいですね。
◇文協は今、経営理念の再追求=改めて問う=日系社会の新リーダー像