沖縄県は宮古島の西方に尖閣諸島という日本固有の領土がある。魚釣島や北小島など四島からからなる島嶼で明治の末には日本から二百五十人ほどが移住し漁業やアホウドリの羽毛採集に従う平穏な村であった。この島々が俄に脚光を浴びるのは一九七〇年代になってからである。国連の調査で同諸島の海底には有力な油田があるらしいの見解が発表されると中国や台湾が「我が領土」と主張し始める▼香港や台湾の活動家が船で押し寄せ上陸を試みたり、日本の団体が気象観測用の設備を設置したりの新らしい「領土問題」になってしまう。東京の石原慎太郎知事は強硬派で知られるし西村真悟衆議は上陸して日本の領土だと世界に宣言し話題になったもする。この諸島は元々は国有地だったけれども、昭和になると民間に払い下げられている。政府がこれらの地主と借り上げ契約を結んでいたことを読売新聞の元旦号がすっぱ抜いて報道した▼納まらないのは中国である。早速に─。阿南惟茂・駐中大使を外務省に呼び出して厳重な抗議をしたそうだ。阿南大使はチャイナスクール派で余り評判はよろしくはないようながらも流石に日本国の大使である。「中国の主張は全く根拠がない」の一語で撥ね付けたと日本の通信社や新聞は伝える。よくぞ言って呉れた─と遠いサンパウロから拍手を送りたい▼北方四島や韓国との竹島。急浮上の尖閣諸島と日本には解決すべき領土問題が三つもある。何れも日本固有の領土なのであり、相手国への阿諛追従などはしない方がいい。それが外交というものだろう。(遯)
03/01/07