MPB(ブラジル大衆音楽)の時代はすでに終わっていた、と六日付フォーリャ紙は断じた。昨年サンパウロ州とリオそれぞれのCDベスト10にMPBは三枚だけ。国産音楽の売れ筋はサンバとパゴッジという時代だ。
軍政時代に外国文化紹介が制限され、その反動ともいえる解放運動の一翼を担ったMPB。もれ聞く外国音楽に独自のスパイスを利かせて若者を惹きつけた。ゆえに軍ににらまれ、カエターノも外国へ逃避していた。
民政復帰後、九〇年初頭から外国文化が無制限になると、逆にMPBは衰えた。軍政を創造的に批判する音楽は、軍政があったからこそ豊かな音楽性を育んでこれた、という皮肉。くしくもMPBの旗手ジルベルト・ジルが文化大臣に就任したが、サンバやパゴッジを盾に、欧米音楽進出に対抗できるか? (深)
03/01/08