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コラム 樹海

近くて遠い国─。北朝鮮は理解不能な国と見ていい。ブッシュ大統領は名指しで「ならずもの国家」と公言したけれども核拡散条約(NPT)からの脱退宣言は、まさしく無頼の徒の横紙破りと言っていい。この国がミサイル輸出をしている事実は昨年、米とスペインの臨検によって北朝鮮の船に兵器が満載されていたことで明らかだし「ノドン」「テポドン」の開発も進んでいる▼核兵器を製造しようとの動きがはっきりしたのも、昨年のことである。米朝会議でアメリカの代表から資料と突き付けられて北朝鮮も認めざるをえない立場に追い込まれてしまった。NPT脱退宣言は、これらの事態が発生した後のことである。核拡散条約からの脱退は「これからは核兵器をつくりますよ」と読んで間違いあるまい▼宣言と同じくして国際原子力機関(IAEA)が施した核兵器製造を防止するための装置を直ちに取り外し始めるなど北朝鮮の暴挙には歯止めがかからない。米当局もながらIAEAも威きり立っているが、最も危険なはずの日本なのに─国民の怒りがどうにも弱い。「テポドン」が列島上空を横断し太平洋に落下したときにもだが戦後の日本人には安全保障の考え方が無いとしか思えないのが残念だ▼熱心なのは小泉首相と石破防衛長官や川口外相などの一部なのが哀しい。尤も北朝鮮は九三年にも脱退宣言をしたが後に撤回している。が、今回も宣言を引っ込めるの保証は何もない。隣国が原爆を持ちテポドンの恐ろしさを列島人はしっかりと認識すべきなのに。 (遯)

03/01/14