本紙元旦号に『日本移民一〇〇周年記念基金』設立を――が掲載されている。提唱者は、脇坂勝則氏(サンパウロ人文科学研究所前理事長・現顧問)。この基金は《日本政府よりの贈与》により年間十億円ずつ三年間かけて計三十億円で立ちあげる。運用益をもって文化・学術振興を図るとしている▼これに早くも反響があった。パラナ・アラポンガスの一読者からだ。「脇坂氏提唱の基金制度大いに称揚します」固定施設への投資ではなく、運用益の各分野への助成、事業の悠久性、日伯友好の絆などを列挙し「これの実現を願って止みません」と▼二千五百万ドルの基金といえばかなりの規模だ。果たしてこれだけの資金を日本側が出すだろうか、と決めてかかり、端から尻込みしてしまう人もいよう。いや、日本移民一〇〇年を契機にそれぐらいの前向き考慮があって然るべきだろう――まずは当たって砕けろ!の空気が醸成されても不思議ではない。ユニークな提唱であり、具体的数字をあげている点は一歩先んじている。「脇坂案」は検討に値しよう▼すでに日伯学園構想もあるが、これは二案並行で一本化にしぼられていない。まだ具体的に数字を出す段階にはない。他にも二、三云々されているが構想、予算など知る由もない。時間をかけてみっちり検討するに越したことはない。としてもあと五年以内にまとめあげ実施する重要事業を思うとき、決断と始動は早いほうがよい。〃船頭多くして〃だけは避けたい。 (田)
03/01/15