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「証人特別警護」実施し5年=代人の名で隔離生活=復讐に脅える犯罪告発者528人

1月16日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】殺人事件などの証人警護プログラムが始まって五年―。現在五百二十八人が、同プログラムで身柄を保障されている。これらの人々は、犯罪事件の証人やその親戚たち。犯罪を告発したことで、自由を奪われた。家族や長年の親友と話したり、今までよく通っていた場所へ行ったりすることは許されない。自分が誰かを他人に話すことさえも。そのような過酷な条件にさらされても、「人生をやり直す価値がある」と証人たちの勇気を奮い立たせるのが、プログラムの関係者にとって最も困難だと言える。エスタード紙は、電子メールで、プログラムで保護されている未成年者二人にインタビューした。
 「殺人グループの一員だった。父母はなく、祖母は自分が持っていたわずかな財産を盗んだ。怒り狂ってグループに入ったけど、お頭の命令に嫌々従っていた。ある日仲間が逮捕され、殺人予定リストを警察に見せた。自分が殺されないように、仲間を全員告発した」と、マルクス(偽名)さん(一七)は話す。
 少年は、捕まった仲間の復讐を恐れながら生活している。「一時も忘れたことはない。俺だけじゃなく、弟まで仲間にやられたらと思うと、眠れなくなる」と心境を語る。
 証人警護プログラムで守られているマルクスさんは、現在見知らぬ人々と生活をともにしている。自分の家にいるようには振舞えないが、寝る場所もあれば三度の食事もある。飢えをしのぐためにシンナーを吸っていたころと比べれば、生活状況は良くなったと言う。
 プログラムの後見人が、マルクスさんの新しい人生話をつくり、見知らぬ人々の間に送り出した。マルクスさんが誰なのか、想像もつかない人ばかり。「このプログラムの悪いところは、家族や友人の誰とも話してはいけないこと、自分の行動のすべてをプログラムの連中に話さなくてはならないことだ」と愚痴る。「それでも、自分は守られているって感じる。一緒に住んでいる人が、今まで誰からもなかった援助をしてくれている」。
 もう一人はクラーラ(偽名)さん(一七)。未成年者の売春宿で育った。裁判官や企業家、政治家たちがこの場所を維持していることを知った。少女も売春を強制されていた。少女の母親が、この売春宿のことを知り、告発した。
 以来少女は、売春宿の顧客から脅されるようになった。「わたしは唯一、あの場所の〃顧客〃たちの名前や、いつ宿を訪れるかなどの情報を知っていた」。そうして、未成年者売春マフィアを告発した。「母は、わたしを守れないから、証人警護プログラムに入れと何度も言った。告発するしかなかった」、と話す。
 クラーラさんは現在、別の家族と生活している。「自分が売春宿にいたころの記憶が、自分を苦しめる。売春や麻薬経験に罪悪感を持ち、恥ずかしく思う」と言う。
 証人警護プログラムは、永遠に続くものではない。二人にもいつか、以前の〃名前〃に戻る日が来る。「プログラムから外され、一人で生きていくのが怖い」と、クラーラさんは本心を打ち明けた。

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