1月17日(金)
福岡県人会(渡部一誠会長)は二月十六日午前九時から、オザスコ市アセンボ街一〇〇番のオザスコ文化体育協会(高清会長)のACEMBO会館で千人の太鼓発表会を開く。全伯の太鼓チーム十チームのメンバー千人が一斉にばちをふるう。大太鼓二十個、小太鼓百二十個が用意され、あとの八百六十人は竹の太鼓をたたく。千個の群太鼓で、オザスコの町は震かんする。
昨年、国際協力事業団(JICA、小松雹玄サンパウロ事務所所長)の派遣で来伯している日系シニアボランティアの小田幸久さんが今、福岡県人会を中心に各地で太鼓を指導している。太鼓は日本語が分からなくてもたたけるということで、日系人への日本文化の継承が最もスムーズにいく分野とされる。丹下セツ子さんも剣劇、日本舞踊などの文化を日系社会に普及することは難しいとあきらめ、太鼓一本に絞り「丹下セツ子太鼓道場」を開いた経緯がある。
もともとリズム感のあるブラジル人たちにとって、和太鼓は無理なく自然に興味を持ち入っていくことができる。コロニアが三、四世の時代に入ったといわれる九十年代から太鼓に挑戦する日系の若者が増えた。中には訪日して太鼓を本格的に習い、一家を成す青年もいるほどだ。
こうした時代の流れを背景に、各地で太鼓チームが結成されつつある。今回、福岡県人会が企画した太鼓発表会には、モジ・ダス・クルーゼス、スザノ、サントアンドレ、サンベルナルド・ド・カンポ、カンピーナス、ソロカバ、カッポン・ボニート、レジストロ、オザスコ、パラナの十チームが参加する。
今、会場となるオザスコの文協婦人会は千人分の弁当を作る準備でおおわらわだ。千個の太鼓の振動が会館からオザスコの空に響きわたる様は、想像するだに勇壮だ。福岡県人会は壮大な世紀のイベントを企画した。