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加賀宝生が能公演=前売り券すでに売り切れ

1月17日(金)

 能楽五派流のひとつに数えられ、石川県南部に伝わる宝生流。その能楽団「加賀宝生」が二十日からポルトアレグレ、サンパウロの両都市でワークショップと公演を行う。加賀の国を治めた前田家代々の当主がこよなく愛した能の世界に触れる絶好の機会となる。
 ブラジル移民九十五周年、金沢市―ポルトアレグレ市姉妹都市提携三十五周年、戦後移住五十周年の三つを記念し、加賀宝生ブラジル友好訪問団とブラジル石川県人会が主催。国際交流基金の助成で、実現した。
 昨今、日本の古典芸能への関心は確実に高まりつつある。美術文化雑誌「BRAVO!」はその今月号で能について大きく取り上げ、期待を寄せた。ブラジルでは九七年以来の能公演となるが、二十三日午後八時から、SESCコンソラソン―アンシェッタ劇場で行われるサンパウロ公演の入場券はすでに入手困難の状況という。
 こうした人気を背景に、主として演劇・ダンス関係者向けに仕舞や囃子のワークショップ、謡講座などを充実させたのが今回の特徴だ。二十一日のポルトアレグレ公演は招待客のみに限られたが、前日二十日午後八時から、アラウジョ・ヴィアナ劇場でワークショップを開催。
 同じく、サンパウロでも二十二日午後四時から、国際交流基金サンパウロ日本文化センターで。これと並行して、ブラジル石川県人会(パライゾ区トマス・カルバリャル街184、電話3884・8698)では謡講座が行われる。
 また、同文化センターでは三十一日まで、「能楽の場面ー加賀宝生流」と題したポスター展を実施している(正午から午後六時まで、土・日休館)。いずれも入場は無料。
 サンパウロ公演の入場料は一般二十レアル。ドトール・ヴィラ・ノヴァ街245の劇場窓口で購入出来る(電話3234・3009)。同日本文化センター(パウリスタ大通り三七・二階、電話3141・0843)でのワークショップは、仕舞二十人、囃子五十人に限定。仕舞の希望者は二十日正午まで、囃子は二十一日午後六時までに申し込みが必要。

 《加賀宝生》
 
 加賀藩五代・前田綱紀が江戸城の将軍御用で、宝生流を取り入れた能を初めて舞ったのが起源。ときの江戸幕府将軍・徳川綱吉がこの宝生をよく贔屓(ひいき)した。加賀の歴代藩主は以来、これを保護し、江戸時代中期に隆盛を極めた。能の流派にはほかに、観世、金春、金剛、喜多がある。