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越境する日本文化 マンガ・アニメ(2)=激増する〃Otaku〃たち=マンガ読者人口5百万人?!

1月22日(水)

 『Chobits』『犬夜叉』『ワンピース』『ドラゴンボールZ』『バガボンド』『エバンゲリオン』『らんま1/2』など、現在国内で出版されているマンガ翻訳本のタイトル数だけで約二十本。それに影響された日本風オリジナル漫画が十タイトル、マンガ・アニメ関連の情報誌が約三十誌も発行されている。
 放送されているアニメは有料TVで二十五タイトル、通常の無料チャンネルで四タイトルも。マンガもアニメも来年はさらにタイトル数が増える予定だ。
 ファンの数を特定するのは難しい――。ただ単にテレビで「ドラゴンボールZ」を見ている層なら、二〇〇〇年頃、TVバンデイランテスで放送された時に一〇%を記録した。その当時は一%が百六十万人相当なので、単純計算すれば一千六百万人となる。これを最広部の裾野とすれば、オタク層の頂点部までには何層ものファンが渦巻く。
 四千六百人の会員を誇るブラジル最大級のファン組織の一つ「ラムズ・クラブ」会長セーザル・タカシ・イッコウさんは「ここで発行されているマンガの延べ発行部数は、月に百五十万部といわれています。単行本は二週間に一冊発行というのもあるので、少なく見積もっても五十万人は購入者がいる」と推測する。単行本を毎月買っている人は、かなりのファンだ。
 USPジャーナリズム科でマンガ史を教えるソニア・ルイテン教授は「庶民の知恵で、ブラジル人はマンガを貸し借りして読む。だから、月百五十万部なら、実際の読者はその三、四倍はいるはず」と分析する。それが本当なら〃ファン五百万人説〃もありえる。
 マンガはブラジル全土のバンカで売られているが、なんといっても〃アニメ・マンガの都〃はサンパウロだ。マンガ出版社が集中し、最大のファンイベント「アニメコン」が毎年開催されている。九九年に三千人の延べ入場者から始まったこのイベントは、毎年入場者を増加させ、昨年七月には四日間で延べ二万人を記録した。
 「アマパーからも、五十人ほどが飛行機で来てくれました。あとはマナウスとかミナス・ジェライス州と、北パラナのロンドリーナからは二百五十人がバスをチャーターして駆けつけてくれましたね」と、アニメコンの会計責任者もするイッコウさんは語る。直線距離で三千キロ超のアマゾン河の向こう側、アマパー州から――。凄まじいファン心理を物語る。
 ほとんどの年齢層が十代後半から二十代前半で「八〇%はブラジル人で、日系人は残り二〇%ぐらい」という。そういう人たちが、会場の舞台で主人公に扮した仮装をして歌唱大会に出場し、日本語のアニメ主題歌を熱唱する。ブラジルはカーニバル文化の国、仮装するのはお手の物だ。連日二百人からのコスプレ(主人公の服装や化粧に仮装すること)が会場を闊歩する。
 つまり、ファンになる筋道としては、まず無料テレビで放送されたアニメが圧倒的にファンの裾野(一千六百万人)を広げ、さらに興味を持った人がマンガを買って読んだり(五百万人)、ケーブルテレビ(有料)を契約して見る。語り合える仲間を求めて愛好会に入会し、イベントに参加(二万人)するようになる。この循環が続く限り、まだまだファンは増えつづけるだろう。(深沢正雪記者)

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■越境する日本文化 マンガ・アニメ(2)=激増する〃Otaku〃たち=マンガ読者人口5百万人?!

■越境する日本文化 マンガ・アニメ(3)=パソコンとアニメの 怪しい関係=ネットの闇にうごめくオタクたち

■越境する日本文化 マンガ・アニメ(4)=鼻息荒いマンガ出版業界=日系が始めブラジル人が市場拡大

■越境する日本文化 マンガ・アニメ(5)=アメコミはライバル?!=子どもの頃からマンガ家が夢

■越境する日本文化 マンガ・アニメ(6)=違和感を超える面白さ=コロニア通らず入り込む

■越境する日本文化 マンガ・アニメ(7)=スーパーマンの危機?!=日本の情けない ヒーローに座を奪われる

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