1月23日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】新ブラジル道路交通法が発効してから二十二日で五年になる。同法で定められた「運転免許証没収処分」が、いまだにうまく実行されていないことが分かった。
一九九八年から、サンパウロ市では一万四千九百六十六人が免許を没収された。これはサンパウロ市の運転者総数の〇・二五%に相当する。
没収数が少ないのは、交通法違反が減少したからではない。違反は年間三百万件と非常に多い。免許没収を担当する機関の処分を実行する設備が整っていないのが、処分されない原因だとされている。
サンパウロ州交通局(Detran)はこの五年間に、二十万人以上の運転者に免許没収通知を送った。うち十万人はサンパウロ市民だという。
免許没収対象になるのは、交通法違反で違反点数を足していき、最高点二十点に達した運転者、あるいは、重大な違反を犯した運転者。重大な違反の例は、高速道路などでスピード限度の二〇%以上の速さで運転することなど。免許は一カ月間から十二カ月間まで没収される。
Detran運転免許証課のアントニオ・C・B・トーレス課長は、通知を受けてもDetranまで出頭しない運転者が数多くいると言明。「このような運転者は、通知後三十日経つと、新しい運転免許証が取れないようになる」と話す。
トーレス課長によると、Detranの情報システムが行き届かず、住所変更などの理由で、免許没収者のすべてに通知が届いているかどうか分からないという。
一方、交通法で良くなった点は、シートベルト使用のチェックと、レーザー速度探知機によるスピード違反の取り締り。これらの違反が厳しく処罰されるようになってから、全国的に交通事故死が減った。サンパウロ州だけでも、九七年の二千四十二人から〇二年の一千四百十二人へ下がった。
ブラジリア総合大学のダヴィー・D・リーマ教授は、「政府は罰金が入ることに目がくらみ、違反者の免許を没収することを忘れている。違反者のほとんどは何度も違反を犯している人ばかり。違反者の免許が取られれば、市は大切な予算を失うことになる」と、厳しい皮肉を寄せている。