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文協改革委各意見まとめる=上=討論会に向け発表=日系社会から広く聴取

1月23日(木)

 現在行われている文協改革委員会は同協会の目的並びに活動内容の根本的見直しについての協議を活発に行っている。同委員会は渡部和夫元高等裁判所判事を中心に、広く日系社会の代表者たちとの意見聴取会を開いてきた。現段階で同委員会がまとめた改革案を全文紹介する。なお同委員会は二月八日午前九時から、文協ビル小講堂で討論会を開く。 

 ブラジル日本文化協会と新時代の要求に沿ったその目的と活動の改革
 ①過去五十年、世界、ブラジル、日本、そしてブラジル日系コミュニティーに生じた変化と文協の目的と活動の見直しの必要性について 
 一、ブラジル日本文化協会は設立されてから、およそ五十年が経過しているが、その間に世界、ブラジル、日本、そして日系コミュニティーは大きな変遷を遂げてきた。
 しかしながら「文協」はその目的や活動を充分に見直すこともなく、協会を構成する会員すら変わっていない。
 二、日系一世の方々が率先してブラジル日本文化協会を設立し、多大な努力と個人的な犠牲を払ってその現在の物質・文化面での財を築き上げてきたが、組織構成については、より新しい世代や、日本文化に親しみを感じる他民族出身の人々を会員にするに至っていない。
 少なくともそのような会員の獲得数は充分とはいえない。
 二世や三世、今では四世の時代を迎えつつあるが、これら世代の中でかなりの人々が「文協」に対して全く魅力を感じていない。その存在すら知らない人も多く、文協のビル内で開催される美術展や蘭展、もしくはその他の文化行事に参加することがたまにある、という程度である。
 若い世代の間では、文協とは一世たちの団体であり一種の大型「日本人会」であるという観念が常に協力であり、自分たちがその活動に参加する理由も場もないと考えているようだ。
 このような「文協離れ」の根本的な理由として、文協の目的が正確に定義されていないという事、文協の目的やその主な活動、とりわけ文化面での活動についての広報が殆ど行われていない事、さらに新時代や他民族出身の人々を惹きつけようとする意識的なストラテジー(戦略)が欠如している事実が挙げられよう。
②「日系コミュニティーという」言語表現の時代に即した意味について
 一、ブラジルにおける日系移民子孫も世代も四世となって他民族間との婚姻が六割以上を占めるようになり、混血の度合いが増しつつある現在、いわゆる日系コミュニティーのメンバーを血の繋がりのみで識別していた過去の基準は、ますます不適切となりつつある。
 以上のデータは専門家たちの調査に基づいたものであり、およそ百四十万人とされている日系ブラジル人口のうち、混血日系人口はそのほぼ三割に相当する。
 これらのデータはさらに付け加えるべき重要な点がある。調査対象として考慮に入れられていないデータである日系ブラジル人の配偶者たちである。
 彼たちは婚姻によって生じる関係、結婚生活から通常起きる社会的繋がりの点から見てもいわゆる日系コミュニティーから除外することはできず、これらの人々の数は他民族間の結婚が増えるに連れて増加する。
 二、従って「文協」の目的、最終目標、そしてその活動について適切な再検討を行う際の出発点は、何よりもまず、本質的にはブラジル社会の一部である日系コミュニティーについての新たな定義が必要となろう。
 この日系コミュニティーはかつて観察されたように日本人の血をひく人々のみで構成されたものではなく、結婚やその他の繋がり、すなわち日本研究や勉学、友情、交友関係等を通じて日本文化を吸収し、日系コミュニティーと呼ばれる環境内にある人々や団体に好意や共感を抱いている人々全てによって構成されるものである。
 要するにブラジル社会の中で日本文化が血管に流れ、精神や心に日本文化を宿す人々の集まりである。
 会員に関して、文協はこのような日系ブラジル人の大幅な定義に当てはまる人々によって構成されるべきであろう。さらに今後はますます若い世代や、存在が薄いように思われる女性の参画も仰ぐべきである。