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高齢化、増える年金相談=受給手続き知ろう=「ケースは十人十色」=藤井弁護士、日本語で助言

1月25日(土)

 連邦政府より先月十三日、暫定令が発令され、年金制度に変更が加えられた。日系移住者の中には、ポルトガル語が理解できず、権利を放棄した形となっている人も多いはず。高齢化の進行にしたがい、年金の受給に関する相談も増えてきている。手続きの仕方などについて、藤井吉夫弁護士に聞いた。
 男性は通算で三十五年、女性は三十年、勤務すれば、年金を受ける権利が発生する。
 これとは別に、男性六十五歳以上、女性六十歳以上で二十年間、就労した人も年金受給の対象者となる(aposentador de idoso)。
 以前は、二年間、掛け金を納入しないと、失効、少なくて五年分、追加して払わないと権利が復活しなかった。今後は通算の年数となる。「十年働いて、十年休み、さらに二十五年働いても年金をもらえる」。 従業員は、雇用契約を結んだ時点で労働手帳に契約日、職種などが記入され、毎月、給与から掛け金(INSS)が引かれる。
 自由業は社会保障院支所で登録、毎月、掛け金を払うことになる。
 受給の手続きは、支所で行う。どの支所でもよい。サンパウロには、セー広場など二十カ所ほどある。
 必要なものは身分証明書、納税者番号(CIC)、婚姻証明書か出生届け。支所が申請者個人に合わせて、必要な書類を提示する。
 書類が受理されると、プロトコールが発給される。その時点から、国が掛け金に応じて年金を支給することになる。支給開始まで早くても一カ月、半年から一年かかることもある。
 役所側が審査するのは、本人に年金受給の権利があるかどうか。つまり、納入期間を満たしているかどうかということだ。
 労働手帳に記入された事項が二度書となっていたり、訂正した跡が見られれば、雇用証明書が求められる。会社が倒産していれば、雇用を証明出来ず、納入期間からはずされる恐れも。
 INSSをそのままにして、出稼ぎで日本に向かう人が多い。日本での就労期間はブラジルで加算されないので注意すること。訪日前に、自由業として登録、継続して、掛け金を納入した方がよい。
 高齢者福祉の観点から六十七歳を迎えれば、納入期間にかかわらず、最低賃金を年金として受けることができる。外国人は対象外。帰化しなければならない。家族の収入なども考慮されるため、「日本人移住者はまず、審査から外される」。
 提出書類に不備を指摘されれば、手続きがいっそう困難になる。弁護士に手続きを委任することもできる。
 藤井弁護士は、「十人十色で同じようなケースはまずない。気軽に相談してほしい」と、話している。
 藤井法律事務所=0(XX11)5572・6107。サンパウロ市パライーゾ区エッサ・デ・ケイロズ通り一二二番。