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飢餓対策に基金創設を=大統領 ダボス会議で提唱= 途上国の意見を代弁=イラク攻撃には反対表明

1月28日(火)

 【ェスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】世界経済フォーラムのダボス会議に出席したルーラ大統領は二十六日、貧窮と飢餓に苦しむ極貧国救済のための国際協定と基金の創設や途上国の発展を阻む補助金制度の廃止、資金の還流、科学技術の共有などを訴えて途上国を代弁した。米英のイラク攻撃の是非を問う会議にも出席し、国連仲裁による平和解決と外交交渉を主張して武力解決に反論した。
 大統領はG7や国際投資家らが第三国と類別する国々をブラジルが代弁して、窮状を訴える責任があるためダボス会議に出席したことを説明した。国際資本が顧みず放置した地域には、テロリズムの温床が発生すると論じた。
 先進国が行うことは、資金力にものを言わせた補助金制度で防衛した口先だけの自由貿易を強要する姿勢を批判した。途上国が求めているのは、相互利益を基本とした自由貿易であることを強調した。資金の還流、科学技術や知的所有権の共有が先進国と途上国の間で相互発展のため必要と大統領は訴えた。
 イラク攻撃の是非を論じる会議にも大統領は出席して、「国際平和は単なる道義の目標ではなく、判断による結論だ」として、国連仲裁による平和解決を擁護し武力解決に反論した。
 先進国の利益を優先した一方的な国際政治を批判して、ブラジルは世界のいかなる国の権利をも尊重するが、ブラジルを二流国扱いすることには断じて許せないと非難して、先進国のエゴイズムに言及した。
 ベルリンの壁は崩壊したにも関わらず南北の壁は健在であり、世界新秩序はもう一回仕切り直すべきだとした。世界最先端の技術力と資金力の最高峰ダボス会議が、見落としていた世界のもう一方の側にも目を向けるべきだと述べた。
 質疑応答に入り、補助金制度を非難し同時に借入を催促して、どのように債務を返済するのかと、皮肉な質問をされた。ルーラ大統領は、誕生して一年以上生き延びたら奇跡とされる地方に育ち、七歳のとき初めてパンというものを食べて以来、交渉に明け暮れる生涯で大統領の任を勝ち取ったと答えた。交渉好きといえども、債務帳消し交渉に挑むことはないと苦笑した。