1月29日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ダボス会議出席ののちドイツを訪問したルーラ大統領は二十七日、メルコスールとEU共同市場協定を二〇〇五年の米州自由貿易圏(FTAA)協定に先立ち締結することで合意したと発表した。また両国は国連安保理の常任理事国に立候補することで、相互支持をする協定をした。これで両ブロックでの懸案は、農産物問題を残すだけとなった。
両ブロック間最大の難関は農産物問題。しかもブラジル特産の農産物が、どれも戦略物資であることでEUにとっても越えられないハードルとなっている。
シュレーダー独首相は両ブロックを友好国として結び付けるためには、越えなければならない問題と位置付けした。補助金制度は国防上のため採られている政策で、EU内ではドイツが最も自由貿易促進のための障害となっている補助金問題に理解を示している。
メルコスールは戦略的にも関心が大きく、EUは同地域を失いたくないと独首相は考えていると述べた。FTAAがメルコスール・EU共同市場に先行するならメルコスールは米市場の傘下に入り、EUは非常に不利になるとみている。
メキシコ市場が北米自由貿易協定(NAFTA)に組み込まれ、EUは五〇%のシェアを失った。同じ轍をメルコスールで踏みたくないと思っている。失地回復のためメキシコ・EU共同市場協定を締結したが、失ったものは取り返せないとEUは後悔している。
アモリン伯外相は、米と仏案が農産物を除外した提案であるのに比して独案が農産物込みの提案であり、ブラジルの立場が有利に展開しているいま、同協定を大きく前進させるチャンスだと述べた。補助金制度廃止でドイツがフランスを説得することは至難と考えられ、EUの意見統一を待たず伯・独単独協定を結ぶことを外相が薦めた。
伯独両国はフルラン伯産業開発相の音頭で、農産物の単独市場開放に向けた伯独準備委員会を政府関係者と民間代表の合同グループにより結成することで合意した。来月メルコスール案を提出、五月にブラジリアで締結準備会談が行われる予定となった。