1月31日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】米州開発銀行(IDB)主催の「EUとラテン・アメリカ同盟」ゼミナールがパリで開催され、カルドーゾ前大統領は二十九日、講演でブラジルが世界の強大国に肩を並べて国際問題にリーダーのように振る舞うのは時期尚早であると言明した。
国際問題に関与するならば、先ずひざ元の南米から始め相互理解と連帯意識を穏便に鼓舞するよう強調した。親分然とした派手な行動で抵抗や阻止運動を引き起こすような手法は慎むべきことだと述べた。本人にその気概があるのは良いが自分から世界のリーダーを名乗るのは、言語道断だとルーラ大統領を牽制する発言をした。
指導者は自分の実力に見合った行動をとるべきで、本人も自覚している筈だとも述べた。米英のイラク攻撃問題については、仏独の見解にブラジルが南米諸国をまとめて合流するのなら妥当であると賛意を示した。仏独を核にした欧州諸国の結集は、米の一国覇権主義に抗する極を構成する唯一の切り札だという。
ブッシュ米政権は、ブラジルのためにグロバリゼーション活動の場を残し、それが国民の生活水準の向上には益したと前大統領はみている。PT政権が反グロバリゼーションを訴えて米政府に無用の刺激を与えるのは、ブラジルにとって得策でないと警告した。
前政権は低所得層の経済援助と生活水準向上のために九十億ドルを投入しており、PT政権が無意味と評価したことに対して、医療や教育などの公共機関では見るものがある筈と反駁した。