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巡回診療担って32年=森口博士、関心の高まり喜ぶ=昨年、2州6千キロ余走破=受診者の25%、血圧に異常

2月1日(土)

巡回診療に携わって三十二年―リオ・グランデ・ド・スル州カトリック大学医学部教授、同老年医学研究所長の森口幸雄博士が、昨年十二月から今年一月にかけて行われた巡回診療の結果を、二十五日に行われた南日伯援護協会の定期総会で報告した。
巡回診療は国際協力事業団が南日伯援護協会に委託していたが、今年度から海外日系人協会の助成業務となった。一九七〇年以来、援護協会の総力を挙げて実施されている。
 診療班には森口博士、イヴァーナ・B・M・クルス医師、クアゼイラ・デ・オリベイラ診療助手に加え、援協から栗原隆之事務局長、鈴木貞男副会長、藤井みどり国際協力事業団(JICA)青年ボランティアが同行。井村賢治運転手が六千三百九十キロを運転した。ポルト・アレグレ近郊、リオ・グランデ・ド・スル州奥地、サンタ・カタリーナ州で合計四百五十六人を診察した。
森口博士は各地の歓待、同行したメンバーに感謝を表し、診療者が前回より五十五名増えたことを「健康への関心の高まり」として喜んだ。
検査の結果、診察を受けた人の四分の一が血圧に異常があることが分かった。中程度の人を含めれば、その割合は三分の一にまで跳ね上がる。一般心電図も十分の一が異常。大部分の人に自覚症状がないことに、注意を喚起した。
負荷心電図の検査では三七%が異常。「高齢化、デカセギ生活でのタバコや無理の影響では」と原因を推測した。日本では同様の検査結果が一・五%だったことを挙げ、「非常に多い。これらの人はいつ心筋梗塞を起こしてもおかしくない」と警鐘を鳴らした。予想外に高い数値に、「この結果を得られただけでも巡回診療の意味があった」と話した。
診療団は各地で暖かい歓迎を受けた様子で、藤井みどりJICA青年ボランティアは、「電話でしか接しない人たちと直接会えて良かった」と感想を語っていた。