2月1日(土)
ブラジル戦後移住五十周年記念祭委員会(中沢宏一委員長)は三十日午後七時から、ニッケイパレスホテルで新年会を開いた。映画『ガイジン2』を制作中の山崎チズカ監督が講演、日系社会はもっと世代間の壁を越えて対話が必要と訴え、出席者を感動させた。赤阪清隆サンパウロ総領事、和井武一援協会長も、五年後に控えた百年祭への大きな流れの中での五十年であることを強調した。委員会は新年会が成功裏に終わったことを喜んでいた。
中沢委員長は約二百人の来場者を前に、「明けましておめでとう。雨の中、多くのご参集をいただきありがとうございます。日系社会は分裂の時代ではない。山崎チズカ監督を応援したい」などと開会あいさつした。三人の領事を従え来場した赤阪総領事は、五年後に迫った百周年を見据えつつ「サンパウロ総領事館は全面的に協力する」と、五十年祭への積極支援を約束した。和井援協会長は、「戦前移民も戦後移民もない」と強調し、協調の時代に入ったことを記念する意味で五十年祭を実施することに協賛の意を表した。
山崎監督は七分間の『ガイジン2』予告編を放映した上で、四世代の日系女性、強い女性を描いたと説明した。『ガイジン2』の予告編は、おばあさんが手を合わせ「ありがとう、ありがとう」と二回繰り返し頭を下げる場面で終わる。映画は出稼ぎ、戦争、移民問題を扱っている。「日系人として生きることは、難しい面もある」と、日系人はブラジル社会の中で特異性を持つことを認めた。日系人の中でも特に「若い世代について、出稼ぎについて」、みんなで議論する必要があると訴えた。「これらのテーマを皆さんの前に提示するのが、わたしの役目と考えている」と、社会派の映画監督らしいメッセージを日系社会に送った。
山崎監督がスピーチを終えると、かくしゃくとした白髪の男性が感極まり監督のそばに駆け寄り「日系社会のために頑張ってください」と目頭を押さえながら握手を求める姿もあった。ブラジル人俳優、スタッフを自在自在に使い指揮する山崎監督のリーダーシップ、カリスマの強さがうかがわれる。日本民族には類い希な能力を開花させた人格といえる。ブラジル日本商工会議所で募金の協力を呼びかけた時とは比較にならないほど、コロニアへの親愛の情が表れた講演だった。