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自立心損なう食料配布=労働省高官が「飢餓ゼロ」批判

2月4日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】政府が奨励する信用組合の設置について労働省相互扶助局の局長就任予定でPT創立会員の一人でもあるパウル・シンジェル氏は二日、莫大な費用を要する食料の無料配布よりも生産性を伴う貸与方式が「飢餓ゼロ計画」にはより効果的だと述べた。
 生産意欲も生産能力もない人々には無料配布方式も仕方ないが、誰にも彼にも無料配布は生産意欲を殺いでしまうとした。政府や教会などへの依存心を植え付けて自立欲を損なうし、何かに依存しないと生きていけないのは恥ずかしいこと、貸与は人間としての誇りをまだしも保つことができると同局長は見解を語った。
 ブラジルには、伝統的に無尽や頼母子講のような小口貸借システムや物々交換市場もあった。貨幣経済以前のシステムだが、僅かの通貨の流通で多数の貧窮者の便宜を図ることが可能と同局長は述べた。
 これはサンパウロ大学(USP)で立案した組合方式による雇用創出と失業救済を目的としたシステム、無尽と物々交換を組み合わせたもので、資本主義経済の歪みを是正する理想的方式だという。世銀(BIRD)も資金協力を行う公約があると局長が述べている。
 バングラデッシュでは、人民銀行が政府の援助で信用組合方式を取り入れて発足させ、極貧者救済に成功している。アルゼンチンでは物々交換市場が活気を呈し、失業者が内職により生計を立て、極貧から立ち直りつつある。もはや低所得階級から中流階級まで物々交換市場に進出して営業するまでになり、社会階級の垣根を取り払いつつあると同局長はいう。