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コラム 樹海

 今年の国際社会が抱える最大の課題は、イラクと北朝鮮との関係をどうするかである。米のブッシュ大統領はフセイン追放に戦争をも辞さない覚悟だし、核開発を公言する北朝鮮からも目を離せない。この二つの国に共通するのは、大量破壊兵器を生産し拡散させようとしていることだ。北朝鮮のミサイル輸出は明らか。イラクの疑惑も晴れてはいない▼米は今月中にもイラク攻撃に踏み切る可能性が高い。北朝鮮が、核兵器を持てば日本の安全保障に直結する。こんな緊迫した情勢なのに日本はどうもはっきりしない。日本とイラクは距離的には遠い。しかしながら、経済を支える石油の九割は中東からの輸入に頼っている。もしもこの地域が不安定になれば日本の存在そのものが危うくなる。もうマラッカ海峡防衛論どころの騒ぎではない。国家存亡の危機と断じてもいい▼北朝鮮には「ノドン」「テポドン」がある。実験とは言えども、テポドンが日本の上空を飛び太平洋に落下したときの驚きは記憶に新しい。だが、これも一時的なものに過ぎなかったようだ。仮に─である。これに北朝鮮の核兵器が搭載されたとしたら、日本はお手上げとなってしまう。今、日米韓が連携し大騒ぎしているのも、こうした危機感が高まっているからに外ならない▼にも拘わらず政治家も国民もが、呑気に構えているのはどういう事なのか。戦後は非武装中立論とかの似非平和主義が国会で論議されたりもしたが、あれは机上の空論でしかない。命綱の石油が途絶え空からはテポドンが襲来するかもしれないのに─である。もっと安保への危機意識をと叫びたい。 (遯)

03/02/04