ホーム | 連載 | 2003年 | 日系農協活性化セミナー 先端現場を視察 | 日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(2)=イビウーナ=無農薬栽培にかける=花・野菜生産する斉藤農場

日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(2)=イビウーナ=無農薬栽培にかける=花・野菜生産する斉藤農場

2月5日(水)

 バスは一路、イビウーナの斉藤農場へ。雨後に太陽の光と共に充満する土と緑の匂いが鼻をくすぐる。
 今回の訪問には若き農業技師、斉藤マルセロさんが説明にあたった。二十三歳とは思えないてきぱきとした説明に一行は感心しきりー。
 この農場では花卉栽培と無農薬野菜栽培を中心に行っている。花卉栽培では歩合制を取っており、近所の家族が何区画かを借り、観葉植物などを栽培している姿が見られる。
 最近の売れ筋としては、テレビ番組『ビッグ・ブラザー』にインテリアとして使用されていた猿のバナナの別名をもつ『パコヴァ』が大人気で生産が追いつかないほどだという。
 先程の雨でぬかるんだ足元に気を付けながら、一行は無農薬栽培を行っているビニールハウスへ移動。はるか向こうに広がるふくよかな丘陵地に目を奪われつつも斉藤さんの説明に耳を傾ける。
 「ここではルッコラやレタス、トマトなどを無農薬で栽培し、ビニールハウスは紫外線を調節するために五重にしています」
 やはり、無農薬栽培における一番の問題は害虫対策。ビニールの色で害虫の視界を奪う工夫や網を張り巡らすといった対策を講じている。
 斉藤さんは肥料にも気を使っており、米ぬか、発酵させた魚、水などを混ぜてボカシという呼ばれる肥料も農地内で作っている。
 これだけ手塩にかけて育てたトマトは一般価格の約二、三倍もするが、主に中流階級を対象にしたスーパーマケットなどで売られており、好調な売り上げを見せているという。
 斉藤さんは「将来このトマトを海外にも輸出していきたい」と新たな夢ものぞかせる。
 これからの日系農業の担い手である斉藤さんの挑戦の成功を祈りながら、一行は同地を後にした。  
  (堀江剛史記者)

■日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(1)=コチアで堆肥生産=販路広げるBIOMIX

■日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(2)=イビウーナ=無農薬栽培にかける=花・野菜生産する斉藤農場

■日系農協活性化センター 先端現場を視察(3)=ピエダーデ=良質のカキ栽培=各種果樹生産する益田農場

■日系農協活性化センター 先端現場を視察(4)=ピニャール=たわわに実るブドウ=山下農園イタリア、ルビー種生産

■日系農協活性化センター 先端現場を視察(5)=カッポンボニート=活躍続ける農業組合=完成待つ自由型直売所

■日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(6)=ビリチーバ・ミリン=12年連作で障害出ず=トマトとキュウーリを2期作

■日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(7)=大手スーパーは殿様商売=菊でブラジル1だった荒木氏

■日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(8)=「こりゃ、美味い!」=移住の思い出カフェ

■日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(終)=しめじ栽培大敵は雑菌=「きのこはすごい仕事をしている」