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若東「楽しむ相撲」提唱=ブラジルに里帰り=9日、常設土俵で胸貸す=朝青龍の綱取りを分析

2月7日(金)

 大相撲で十両まで行った若東(二七、本名=黒田吉信、玉ノ井部屋)が六日、ブラジルに一時里帰りした。大相撲に入って十二年目。現在は幕下五十一枚目におり、再起を期している。日本国籍を持っているが、「生まれはブラジル。気持ちはブラジル人」と言い切る。ブラジルで相撲を取る後進力士には、「楽しんで相撲を取ってください」とアドバイスする。九日にはボンレチーロでブラジル人選手に胸を貸してけいこをつける。

 若東は六日午前、赤木政敏ブラジル相撲連盟会長、土屋守雄副会長、サンパウロ相撲愛好会の北原竜造名誉会長、弟の北原修身さん、大西悦雄副会長とともに来社、里帰りのあいさつをした。大相撲十二年目、四回目のブラジル帰国となる。周知のように同愛好会で相撲の指導に当たる黒田信雄さんは、若東の父に当たる。
 けいこ場ではモンゴル力士朝青龍と相撲を取ったこともある。この三年の間に青青龍(二二、高砂部屋)は横綱まで一気に上り詰めた。焦りがないといえば、うそになるだろう。若東は、「現在、幕下五十一枚目」と苦しそうに語る。元十両の誇りが許さない。大相撲の寿命は人によって違うものの、「残された時間は少ない」と認める。
 若東は、「三年ぐらい前、朝青龍とけいこ場で相撲を取ったこともある。あのときは勝ったり、負けたり。ブラジル人力士として、モンゴル力士に対抗意識を燃やしました」と、正直なところを語る。横綱から序ノ口まで大相撲は八百人の力士を抱える。序二段、三段目、幕下、十両へと昇り、そして幕内に入ることは並大抵のことではない。
 若東は、相撲で最大の問題はけがだと指摘する。「いかにけがをしないで相撲を取るか、慎重に考えていかなければならない」と考える相撲の重要性について強調する。「朝青龍はけがをしない体を持っている。生まれつきのものでしょう。綱を取るには運もあるが、けがをしない強じんな体が不可欠だ。それにハングリー精神。人一倍けいこもする」と朝青龍の横綱昇進を分析した。
 若東が所属する玉ノ井部屋には、現在ブラジル人力士が三人いる。一時は入幕がうわさされ十両までいった功弐東(旧国東)、東旺がいる。
 若東は九日午前十時から、サンパウロ市ボンレチーロ常設土俵でブラジルの相撲選手を相手にけいこをつける。
 十六日のパウリスタ相撲選手権大会に顔を出す。
 若東は、「プロになりたい人がいれば、役に立ちたい。手を差し伸べたい」と述べ、ブラジルの相撲選手たちには「けがをしないように頑張ってください。楽しんで相撲を取ってください」とメッセージを送った。