2月7日(金)
起床は午前五時。まだ街の街灯がともる中、一行は朝食を済ませ、サンミゲール・アルカンジョ市のコロニア・ピニャールへ。
福井村とも呼ばれるこの移住地は昨年入植四十周年を迎えた。約五十家族の主産物はブドウである。それに加えて、カキやビワ、ポンカン、アテモヤなどの栽培も盛んで、それらの年間生産量は約六千トンにも上る。
九十四年に解散した南伯農業協同組合中央会の下で活動していたのは三十七農協、十年後の現在残っているのは十数農協。コロニア・ピニャールの所属するサ・アルカンジョ南伯農協はその一つである。
一世移住者からすれば二世たちがその中心となって運営にあたっていることは頼もしいばかりー。
訪ねたのは福井県人会の会長も務め、サ・アルカンジョ南伯農協の初代会長でもあった山下治さんのブドウ農場。
山下さんによれば「九月三日の霜と七日の大風で被害を受けた」というものの、見渡す限りのブドウ棚にはたわわに実ったブドウが弾けんばかりだ。参加者はその静物画にも出てきそうな立派さに感嘆の声を上げる。
現在、山下さんは十五ヘクタールの土地にイタリア、ルビーなどのブドウを中心とした栽培を行っており、ワイン用のブドウも始めている。
「糖度も高く食べやすい」と人気なのは、種のないピオーネだが「手がかかる上、雨に弱いためまだ試験中の段階」だという。
一行は広々とした芝生の中央に建つブドウ御殿、山下さんの邸宅で先程のピオーネやルビーを頂く。余りの美味しさになかなか手が止まらない。
自家製のよもぎもちなども振る舞われ、「昼ご飯が入るかな」と心配する参加者も。
帰りには山下さんから一人に一箱ずつブドウが届けられた。一行は山下さんの心遣いに感激しつつも今回のセミナー視察旅行の最終目的地、カッポン・ボニートへ向かった。
(堀江剛史記者)
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