2月8日(土)
今、お香はショッピングや道端で気軽に買うことができる。そのほとんどがインド産で十本前後の線香が入った袋が一~三レアルなどと廉価なため、リラクゼーションや雰囲気作りのため、利用する人も多い。
日本でお香、線香といえば抹香臭いとか仏壇などのイメージと重なりがち。
しかし、日本には古墳時代からの香の歴史があり、平安時代には「枕草紙」や「源氏物語」などに香りを楽しむ優雅な世界が描かれているし、室町時代には『香道』という芸道として確立されている。
現在、日本にある数百種の線香の数々は江戸時代に作られ、庶民にも定着していった。
その日本の香の文化をブラジルに、と四百年の歴史を持つ日本香堂がサンパウロに中央銀座という会社を立ちあげ、輸入販売を始めたのは九七年のこと。
その矢先、輸入業務補足例という線香を香水のカテゴリーに入れる法令が発布され、検査、書類手続きのため、二年の歳月が必要だった。
やっと許可が下り、ショッピングなどに委託販売なども始めた九九年にはレアルの下落が始まっており、輸入しても高価なものになってしまうため、一般向けでなくなってしまった。
中央銀座の岩中徹さんは「今は状況好転を待っている状態」と新政権への期待をかけている。
日本香堂の直営店であるレストラン「らん月」の本来のコンセプト、『香りと食の文化を通した文化ビジネスの創造』もレストランの中で香を焚くことも、売ることも衛生局の指導上不可能のため、現在「香り」と「食」は別々に歩んでいる。
しかし、現在でも事務所内で販売は続けており、約四十種類の線香、香壷などが展示販売されている。
岩中さんによれば「香立てと線香がセットになり、ハンドバッグにも入るサイズのものが人気」だという。
しかし、値段は十八レアルから八十レアルとなかなかのお値段。「あくまでも商品価値の分かる人を対象にしている」と強調する岩中さん。
ブラジルでの販売が景気回復までは難しいー。
ならば、と現在ではマラクジャ、コーヒー、薬草などブラジルの香料を日本香堂が現在テスト中。日本で商品化し、ゆくゆくはブラジルでも販売したい考えだ。
事務所は「らん月」の敷地内にあり、現在輸入は行っていないので数はあまりないが、「希望があれば、いつでもお分けします」とのこと。
くつろぎたい時や友人との楽しい語らいのお供に日本の香り。生活を楽しむ一つの要素としての『匂い』をもう一度見直してもいいかも知れない。
電話=3063・9818(担当・池内マルシーリャ)まで。