2月11日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ルーラ大統領は八日、政権獲得のためにPTが諸派連合を結成したことにより思想的相違が生じる中で事態を収拾する見解を述べた。前政権の経済路線踏襲は、社会主義も選択肢に入れた新自由主義による目標達成のための模索であると過激派に訴えた。異質政党をも取り込んだ連立政権であるため、従来の労働者党創立の精神は、協調路線をとるか権力闘争の道をとるか試練の時を迎えている。忌憚ない意志表示はPTの常というが、水面下の動きは穏便ではないようだ。
PTが政権獲得に至る上で木に竹を接ぐような連立も敢行した党戦略が、政権発足して一カ月目ほころびを見せることになった。同じ屋根の下で政治を執るには、思想の節操を曲げない過激派がアキレス腱といえそうだ。
大統領は、社会主義の理想達成のためネオリベラル路線を踏襲し、経済政策で前政権の路線継続を国際金融に宣言したと述べた。それを容認しない過激派と、妥協点を求めている。
PTは、創立当初から労働組合と知識階級、宗教関係者などの集団にマルクス主義者、トロッキスト、毛思想主義者が集まった構成家族であった。権力闘争は日常茶飯事だが、理想主義者が次々合流して社会主義国家に夢をつなぎ党を構成してきたといえる。
ジェノイノPT党首は党執行部と過激派の確執が党分裂につながるとするなら、PTは政権獲得前に崩壊していたと述べた。同党首は七日、PT内の確執を一切否定した。労働組合の総会では、同士が派の違いで血相を変えて大喧嘩をするという。
PTの中央機関には党全国会議と国会議員、党執行部など三部があり、その他に左翼連合と労働組合がある。エレーナ上議の背後にはアナ・ジュリア上議を初め、ロセット農地改革相、ピニェイロ下議、ファンタジニ下議などが、社会民主主義一派を構成している。
いっぽうジェッツリオ・ヴァルガス財団の政治科学学科では、PTの権力闘争の水面下作戦が継続され、過激派が劣勢にあると見ている。党員の権利剥奪の権限は党執行部にあり、過激派の包囲作戦には手が打たれており、議会工作でも過激派の票を計算に入れていないようだと踏んでいる。