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『ラテンアメリカ多国籍企業論』=90年代の変貌、堀坂氏ら書く

2月14日(金)

 〃失われた十年〃といわれた一九八〇年代の次に訪れた九〇年代は、企業にとって大変貌の十年間だった。ブラジルを含めたラテンアメリカに対する外国直接投資が大幅に増え、経済ナショナリズムの主導的役割を果たしていた公営企業は徹底的に民営化の波に洗われ、多国籍企業の新たな参入が相次ぎ、ラテンアメリカも世界経済の一端に組み込まれることになった。
 その流れを多角的に分析したのが『ラテンアメリカ多国籍企業論―変革と脱民族化の試練』(堀坂浩太郎、細野明雄、古田島秀輔、日本評論社、二九六ページ、二〇〇二年十一月、四千五百円)だ。目覚しい進出をみせるスペイン、アメリカ、ドイツ企業の長期的投資傾向と特徴を分析するとともに、受け容れ国であるブラジル、メキシコ、アルゼンチン、チリなどにおける自動車産業、鉱業、小売業、エネルギー産業の変化を描いている。
 『ラテン・アメリカ時報』二〇〇三年一月号では「経済のグローバル化がもたらす企業環境の変化に対する認識と、その対応に遅れをとりがちな日本企業にとっても、大いに示唆に富んだ研究である」と書評している。