2月14日(金)
【中国新聞】南米の被爆者の健康診断に当たるため広島、長崎両県が現地に派遣した医師らが帰国し、七日、広島県庁で会見した。当初予定通り、ブラジルでは健診をせず、希望者に健康相談を実施した。
一行は、団長の柳田実郎・広島鉄道病院第三内科部長ら五人。一月二十三日からブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ペルーの五カ国を回り、ブラジルを除く四カ国で計二十四人の健診をした。
ブラジルで健診しなかったのは、在ブラジル原爆被爆者協会が現地での医療への支援を求め、日本政府の支援策に反発しているため。今回、サンパウロに集まった四十一人と意見交換し、うち希望者十二人を対象に健康相談を実施したという。
柳田医師は「加齢による影響はみられたが、緊急の治療を必要とする被爆者はいなかった」と全体を総括した。
ブラジルについては「日本の被爆者と同等の支援を希望する現地の声を直接聞くことができた」と理解を示しつつ、「ブラジルをはじめ南米は広大で、整備された病院も少ない。だれでも、いつでも、十分な医療を受けることができる環境にない」との問題点も指摘した。