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WTO閣僚級会議 米、メルコスル案に不満=FTAA関税問題 足並み揃わず=東京会議、進展みず閉幕=生産国と消費国間で激論

2月18日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】東京で開催された世界貿易機関(WTO)閣僚級会議で、ロバート・ゼーリック米通商代表(USTR)は十六日、メルコスール代表が米州自由貿易圏(FTAA)へ提出した、十年間に工業製品の三四%、農産物の三八%開放案は極めて消極的だと不満の意を表明し、六月までに修正案を提出するように要求した。同会議は、工業製品と農産物の同等扱いを拒む消費国と農産物輸出に命運を賭ける途上国との間に、何ら進展を見ぬまま閉幕した。
 WTO東京閣僚級会議は加盟国間の見解の大きな食い違いを、歩み寄りと意見調整のため日本の発案で開催した。しかし、農産物で生産国と消費国の間は意見が平行したまま閉幕した。
 会議は緊張した雰囲気の中で、先進国のWTO会議ボイコット戦略を非難する場面もあった。ゼーリックUSTR代表とアモリン伯外相、WTO代表は十八日、FTAA問題で三者会談を行う予定となった。 
 先に米政府は工業製品をカリブ海域には九一%、メルコスールに対しては五八%開放とし、農産物ではカリブ海域には八五%、メルコスールに対しては五〇%開放と、メルコスールが得意とする分野を警戒する差別的内容を発表した。
 しかもWTOを通じて抗議していた農産物の補助金制度廃止には一切触れず、他に数々の関税制度以外の輸入障壁を設けてゴリ押しをしようとする米の態度が、メルコスール加盟国を不快にしたようだ。
 ロドリゲス農相は、農産物ではブラジルが世界最高水準の生産力と生産技術を有するので全般に開放度の高い数字を出せるが、メルコスール加盟国の中には準備が遅れている国もあり、工業製品三四%と農産物三八%という平均的数字を出したと述べた。
 WTOから米政府に対し、十年計画で補助金制度を暫時廃止する提案があった。農産物の補助金制度では最も障害となっている国のひとつである議長国日本は、同問題の協議を避けようと故意に論争を停止させたので会議は議論百出、混乱した。WTOが、新たな修正案を草案することで会議は収拾された。